Watsonと言うと、2011年に米クイズ番組「Jeopardy!」で人間のクイズ王を破ったイメージが強い読者もいるかもしれない。一見すると、膨大なデータベースから情報を探し出す「検索システム」と誤解されがちだが、実際には(1)自然言語を理解し、(2)文脈からの推察に基づいて意見を提案、(3)データの蓄積が増えるほど学習し、判断の材料としていく――という「コグニティブ」(認知・気付き)の技術が本質だ。
SNSの台頭やIoT(Internet of Things)製品の普及に伴い、“生”のデータが膨大に生成されるようになった一方、企業のビジネスチャンスにデータ活用が結び付かないのが実状でもある。米IBM Watson ビジネス開発担当のマイク・ローディン氏は「大半がノイズのデータの中から、有益な情報を拾い集め、分析して『知識』にしなければ、ビジネスの差別化要因にはならない」と話す。
このように「データ」を「情報」、さらに「知識」へと絞り込むサプライチェーンに、Watsonの技術を応用。現在、全世界36カ国で、29の業界、5つ言語――などに活用が進んでいる。
そんなWatsonだが、開発の原点になったテキストマイニングの技術は、日本IBMの大和事業所(神奈川県)に端を発するものだ。同社のポール与那嶺社長は「日本を原点として生まれたWatsonが米国に渡り、実績を出して里帰りした」と感慨深く話す。
「今回のWatsonは、コグニティブ・テクノロジーの第1弾。新たなソリューションを生み出し、ともにエコシステムを構築し、日本のグローバルな競争力を高めていきたい」(ポール社長)
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