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「これ誰が買うの……?」 ニッチすぎるのに人気沸騰 スマホで最大4枚のSIMを切り替える「SIM CHANGER デルタ」が生まれたわけ(2/3 ページ)

» 2016年08月30日 08時00分 公開
[山口恵祐ITmedia]

 この製品のクラウドファンディング目標出資額は250万円。だが「製品化に向け、僕らが本当に目指していたのは500万円から600万円だった」と岩佐CEOは明かす。いったん250万円を超えれば、その後の伸びによってもっと増えるのでは――という考えがあったという。

photo クラウドファンディングサイト「Makuake」内にある「SIM CHANGER デルタ」の商品ページ

 「これまでのクラウドファンディングのさまざまなプロジェクトを見ていると、目標額を達成した後に、出資がさらに伸びるというケースが目立っていました。実際、社内のメンバーにヒアリングしてみると『目標額を達成していると買いやすいよね』という声が多かった。達成したものイコール人気商品みたいな。普通の(ECサイトにあるような)商品に近くなっていく感覚があります」(岩佐CEO)

 クラウドファンディングとはいえ、目標額を上回っていれば、出資者にとってそれはリスクのある出資ではなく“注文”に近い感覚となる。これまでもクラウドファンディングを利用してきたユーザーにとっては、なおさらそう感じられるはずだ。そこで、SIM CHANGER デルタでは目標額を250万円とあえて「低め」に設定し、それ以上に伸びることを前提に計画していたという。

 「早期にある程度目標額を達成してしまえば、その後も伸びるだろうと。出資額が250万円ぐらいいけば、(最終的に)500万円くらいになるでしょう。そこまでいけばビジネスとして回すことができます。ギリギリ250万円で達成した場合でも、お客さんに製品を届けなきゃいけない責任はあるが、商品としては伸びないだろうなと。その点は僕らにとってもチャレンジでした。現時点で出資額は700万円台後半と、十分僕らの予想以上の反応が得られました」(岩佐CEO)

なぜ三角形? デザインは『遊んでもいい』

 その一方で、ネット上では三角形の本体が「持ち歩きにくそう」という声も挙がっていたが、これに対して岩佐さんは次のように説明する。「(コンセプトが)相当とがっているデバイスなので、デザイナーにデザインで遊んでもいいと言っていました。とにかく小さくしてくれと言うと、見た目はモバイルルーターのような形になる。それは用途を誤解されるので避けたかった。」(岩佐CEO)

 「結構割り切りが大事で、特にCerevoのようなスタートアップ企業はロジックを重ねてモノづくりをしません。『他社より0.5ミリ薄くなりました!』みたいなところで勝負しないと決めている。そうやって割り切っていったら、大きめの筐体で一カ月間もバッテリー充電しなくていいものができました」(岩佐CEO)

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