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2016年10月21日 08時59分 UPDATE

がん撲滅のための米国家プロジェクトが進展 バイデン副大統領が説明

月に人類を送り込んだアポロ計画のように困難だが意義のある国家プロジェクト「ムーンショット」。現在、米国が取り組んでいるムーンショットは「がん撲滅」だ。

[AP通信]

 米民主党のジョー・バイデン副大統領(73)は10月19日、新たながん治療方法の発見を目指す、ホワイトハウス主導の“ムーンショット”プロジェクトが今年大きな進展を遂げたと語った。ただし次期大統領選びが進む中、やるべきことはまだまだあるという。

 副大統領はボストンに集まった数百人の医療関係者や研究者に向けて、自身が代表を務める「がん撲滅ムーンショットタスクフォース」の一連の取り組みについて進捗を説明した。このプロジェクトは、バラク・オバマ大統領が任期中最後となる2016年1月の一般教書演説で発表したものだ。

 副大統領によれば、オバマ政権は新薬承認を迅速化し、がん患者が臨床試験に参加しやすくすることを目指しているという。副大統領は、デラウェア州司法長官を務めた長男のボー・バイデン氏を2015年に脳腫瘍で亡くしている。

 オバマ政権はがん研究者間の情報共有も促している。バイデン副大統領は、研究者間の情報共有はもっとなされて然るべきとの考えだ。

 「私たちの取り組みはまだ始まったばかりだ。非常に大きな途方もない進歩を遂げようとしている」とバイデン氏は語る。

 さらに同氏は、特に社会的に恵まれない人たちの間で、がんの予防と早期発見の仕組みを充実させるためには、さらなる取り組みが必要だと指摘する。

 「この国には、どんなことでもやり遂げる力がある。私たちは必ずや、驚異的なブレークスルーを達成する。驚きで思わず息をのむほどのことを実現する」と同氏は語る。

 バイデン副大統領がチェアマンを務めるタスクフォースには、米国立がん研究所(NCI)、米国立衛生研究所(NIH)、米保健社会福祉省(HHS)など、十数の連邦政府機関の責任者が参加している。

 このタスクフォースの目標は、がん研究とがん治療の進歩を2倍に加速し、達成に10年かかりそうなことを5年で実現することだ。

 バイデン副大統領は今週、このムーンショットプロジェクトの進捗報告書を大統領に提出して以来、さまざまな場所で講演している。ボストンでの集まりに1時間以上遅刻したのも、数時間前までニューヨークの別のイベントでこのプロジェクトについて話をしていたからだという。

photo ムーンショットタスクフォースで話すバイデン副大統領(AP Photo/Carolyn Kaster)

 報告書では、官民の数十の取り組みの進捗状況が報告されている。MicrosoftとAmazonと米国立がん研究所が共同でがんゲノムデータベースのオンライリポジトリを構築する計画も、その1つだ。

 配車サービスのUberとLyftががん患者を無料または割引料金で医療機関に送迎するプログラムの拡充や、「がんの生物学的基礎」を研究するための米国防総省による新たな取り組みについても言及されている。

 この報告書には、将来の政権のための青写真としての役割もある。ただし議会は、任期満了が近いオバマ政権がこのプロジェクトに充てた何億ドルかの予算をまだ承認していない。

 バイデン副大統領は残りの人生をがん治療法の発見に捧げると明言しているが、この取り組みのために次期政権のメンバーとして働く可能性については公式に否定している。

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