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2017年01月10日 18時17分 UPDATE

iPhoneが10周年 「電話が世界を変えられる」わずか10年で証明

初代iPhoneの登場から10年が経過し、われわれの生活は一変した。

[AP通信]

 当時そのことに気付いている人はほとんどいなかった。だが今から10年前、米Appleが技術の粋を尽くして完成させた初代iPhoneをスティーブ・ジョブズ氏が披露したとき、世界は根本から変わったのだ。

photo (AP Photo/Paul Sakuma)

 「ときどき、すべてを変えてしまうような革命的な製品が登場する」。サンフランシスコでの発表会に登壇したジョブズ氏はステージを右へ左へと歩きながら、初代iPhoneをそう発表した。

 これが口だけではなかったことは明らかだ。ジョブズ氏の「魔法の製品」が実際、文化を作り変え、産業を一新し、何十億人という人たちの手にコンピュータを行きわたらせ、画面を数回タップするだけで何でもできる世界を実現したことは、今では私たち誰もが知っている。初代iPhoneは3.5インチのタッチスクリーンを採用し、外出先でWebを閲覧するためのブラウザや、メールを確認したり道順を調べたりするためのアプリを搭載した。

社会のモバイル化

 2007年の発売以来、iPhoneの販売台数は累計で10億台を突破した。その間、何百万本ものモバイルアプリが誕生し、競合各社が同様のスマートフォンを開発。今や私たちの多くにとってスマートフォンは身体の一部のようになっている。

 iPhoneなどのスマートフォンを使えば、ほぼどこからでも動画や写真を友人や家族と直ちに共有できる。出かける先を調べたり、実店舗で買い物中にお買い得情報をチェックしたり、レジで支払いに使ったりといったことも可能だ。タクシーの配車依頼、楽器のチューニング、健康管理、仕事探しにも使える。

 さらに携帯電話は賢さを増し、今ではiPhoneの「Siri」やGoogleのAndroidスマートフォン「Pixel」に搭載されるアシスタント機能「Google Assistant」など、頼りになるデジタルコンシェルジェが私たちの問い掛けに返答までしてくれる。

 「iPhoneはお客様の生活に欠かせない要素となっており、今日、私たちのコミュニケーションやエンターテインメント、仕事、生活の仕方をこれまで以上に再定義している」。Appleが公式サイトで公開したiPhoneの10周年を記念するメッセージにおいて、同社のティム・クックCEOはそう誇らしげに語っている。

iPhone人気の影で

 iPhoneの画期的なタッチスクリーンが登場したことで、かつて人気を誇ったインターネット接続端末「BlackBerry」の終焉は決定的となった。スマートフォンとタブレット端末はさらにPCの売れ行きも鈍らせ、その傾向が今も続いている。

 調査会社Gartnerによれば、2016年のデスクトップPCとノートPCの世界出荷台数は2億1900万台と、2007年の2億6400万台から減少。一方、2016年の携帯電話の世界出荷台数はは19億台近くと、2007年の11億5000万台から増加している。

 Gartnerの推計によれば、その結果、世界では現在13億台のPCが使われる一方で、約50億台の携帯電話が使用されているという。

 PC人気の低迷はMicrosoftやIntel、Hewlett-Packard(HP)、DellといったIT大手をも大いに揺るがし、どの企業もiPhoneの登場によって加速したモバイル化の流れに迅速に適応することができなかった。

 初代iPhoneの発表当時MicrosoftのCEOだったスティーブ・バルマー氏は、ガラスと金属を組み合わせたAppleの新しいガジェットを嘲笑。2007年4月、USA Todayの取材に応じ、「iPhoneがそれなりの市場シェアを獲得できる可能性はない。絶対に無理だ」と述べている。

 Microsoftはその後iPhoneに追い付こうと携帯電話メーカーのNokiaを買収するも、その投資は失敗に終わり、結局、約76億ドルの評価損を計上している。バルマー氏は2014年にCEOを退任し、サティア・ナデラ氏が新CEOに就任した。ナデラ氏はMicrosoftの人気製品「Office」の販売戦略にメスを入れ、iPhoneをベースにしたAppleのタブレット端末「iPad」向けのバージョンを投入した。

最高はまだこれから

 iPhoneを成功させたジョブズ氏は多くの人たちの尊敬を集め、2011年10月には世界中の人たちがその死を惜しんだ。

 iPhoneの成功はAppleを世界で最も収益性の高い企業へと押し上げ、2016会計年度にはAppleは2160億ドルの売上高に対し、457億ドルの利益を計上している(iPhoneの発売以前には、193億ドルの売上高に対し、20億ドルの利益を計上していた)。iPhoneを発売して以来、Appleの株価は株式分割を経て約10倍近く上昇し、時価総額は6350億ドル前後で推移している。

 だが最近、iPhoneは勢いを失いつつあるようだ。アップグレードせずに古い機種を使い続けるユーザーや、GoogleのAndroid OSを搭載する競合スマートフォンに切り替えるユーザーも増えている。

 現に2016会計年度にはiPhoneの販売台数が初めて減少。Appleは年間の売上目標を達成できず、クック氏の報酬は15%削減されることになった。

 現在、スマートフォンの大半はAndroidを搭載している。これは一部には、GoogleがAndroid OSを無償で提供していることによるものだ。そのおかげで、競合各社はiPhoneよりもはるかに安価なスマートフォンを提供し(iPhoneの最新モデルは649ドルから849ドル)、特に米国以外の地域において、価格に敏感な消費者の取り込みに成功している。

 もっとも、クック氏は10周年記念のメッセージにおいて、iPhoneの時代は「まだ始まったばかり。最高の状態はまだこれからだ」とコメントし、さらなる進化を約束している。

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