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2017年02月10日 10時42分 UPDATE

地球温暖化が影響? 生ガキ食中毒と新発見の細菌株との関連は? (1/2)

米国の大西洋岸で増えている食中毒。腸炎ビブリオ食中毒の研究から浮かび上がった原因は?

[AP通信]

 大西洋岸のカキを研究する科学者らが、新しい細菌株を発見した。魚介類を食べて食中毒を起こす人たちが増加している原因を解明する重要な手掛かりとなりそうだ。

 米ニューハンプシャー大学の研究者らは、腸炎ビブリオと呼ばれる細菌の新しい菌株を発見した。腸炎ビブリオは世界中に広く生息しており、この菌に汚染した魚介類を生食すると、下痢や嘔吐、腹痛などの症状を引き起こす。まれではあるが、敗血症にかかって死亡するケースもある。

photo (AP Photo/Patrick Semansky)

 これまで腸炎ビブリオ食中毒の原因は1種類の細菌株にあるとされてきたが、このたびニューハンプシャー大学のシェリル・ウィスラー氏と同僚の研究者らが新しい菌株「ST631」を発見し、学術誌「Journal of Clinical Microbiology」でその詳細を発表した。ウィスラー氏によれば、近年ニューイングランド地方では食中毒が増加しており、既に米国では腸炎ビブリオによる食中毒が推計で年間4万5000件起きているという。

 ウィスラー氏によれば、ST631はこの地域の固有種だが、どのように進化してこれほど危険な存在になったのかは不明だという。ST631は、長らく腸炎ビブリオ食中毒の原因とされてきた「ST36」とよく似た毒性遺伝子を保有する。ST36は太平洋岸北西部から広まったとみられている。

 ニューハンプシャー大学のNortheast Center for Vibrio Disease and Ecology(ビブリオ感染症と生態学の研究所)でディレクターを務めるウィスラー氏は次のように語る。「未知の菌株によって食中毒を発症する人が増えていることは分かっていたが、大西洋に生息する菌株が食中毒増加の原因だとは分かっていなかった。皆が、別の同じ菌株が原因で食中毒にかかっているのかどうかもはっきりしなかった。菌株が何十種類も存在しているのか、数種類の菌株が原因なのかも分からなかった」

 ウィスラー氏は米食品医薬品局(FDA)と保健所のほか、5つの州の水産物管理当局と協力し、新菌株の発見に取り組んだ。

 「新菌株がこれほど広く分布していることに驚いた」と同氏は語る。ST631がフロリダ州からメイン湾、カナダのプリンスエドワードアイランド州までという広範な水域に生息していることは、気候変動との関連を示唆するものだ。

 腸炎ビブリオなどの細菌性病原菌の拡散と気候変動との関連を示唆する研究結果は、これまでにも発表されている。米国科学アカデミー紀要(PNAS)の2016年8月号では、水を介して——特に生ガキを食べることで——広まる食中毒と水温の上昇との関連が報告されている。

 「気候変動に伴い、病原菌が拡散していることを示す証拠は多数ある」とウィスラー氏は語る。

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