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2017年03月22日 08時27分 UPDATE

消火現場で「ひざ」をついてはいけない理由は? (1/3)

建物を包む激しい炎に、立ち上る黒い煙――火災現場で、果敢に炎に立ち向かう消防隊員は一体、どんな訓練を行っているのだろうか。

[産経新聞]
産経新聞

 建物を包む激しい炎に、立ち上る黒い煙−。素人なら思わず立ちすくんでしまうような火災現場で、果敢に炎に立ち向かう消防隊員は一体、どんな訓練を行っているのだろうか。先月、東京消防庁の消防学校(東京都渋谷区)で、訓練の一部を体験させてもらった。防火服や防火帽などの装備は想像以上に重く、体が動かない。本物の炎の熱が、肌をヒリつかせる。危険と隣り合わせの火災現場を模擬体験した。(社会部 緒方優子)

画像 実際の火災現場の環境を再現した「模擬消火訓練施設」に入る緒方記者(一番後ろ)ら=2月、東京都渋谷区
画像 実際の火災現場の環境を再現した「模擬消火訓練施設」=2月、東京都渋谷区

装備20キロ、装着45秒

 訓練の舞台となる消防学校は、渋谷区の閑静な住宅街の中にあった。門に入ると、広大な敷地内におびただしい数の消防車がずらりと並び、制服姿の学生らがかけ声とともに、きびきびと動いていた。背筋の伸びた姿勢が、すがすがしい。久しぶりの「学校」という響きに浸っていると、訓練を担当してくれる教官から声がかかった。

 「訓練では、本物の炎を使います。真剣にやらないとけがをしますよ」。緊張した心と体をほぐすため、まず始めたのは、準備体操。等間隔に整列し、号令とともに体を動かすだけで、不思議と気持ちがすっきりとしてくる。日頃の運動不足で重たくなっていた体が、徐々に温まり、軽くなっていった。

 「それでは、防火服を装着してください」。この日用意してもらった装備は、実際に火災現場に出動する隊員と同じもの。防火服の上衣と下衣、防火帽、長靴のセットで、全て身につけると9キロほど。とくに、長靴の底にはくぎの踏み抜きなどを防ぐ鉄板が入っていて、重りを足につけて歩いているようだった。防火帽には後頭部を守る「しころ」と呼ばれる防火性の布がついており、装着すると周囲の音が少し、聞こえづらくなる。

 さらにここへ、重さ約11キロの酸素ボンベを背負う。総重量はなんと約20キロ。よろいを着ているような感覚だ。

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