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「個人開発者は“孤独な開発者”になってはいけない」――ヒットアプリ作者が語る“レッドオーシャンの泳ぎ方”Unite 2017 Tokyo(2/4 ページ)

» 2017年05月11日 07時00分 公開
[片渕陽平ITmedia]

「開発者ブースト」「ストアフィーチャー」……生存確率を上げる方法

 和尚さんは、スマホユーザーの特性を「ゲーマー層よりも、暇つぶしを求めている一般ユーザーが圧倒的に多い」と分析する。

 一般ユーザーは、アプリのゲーム性が高いと逆に「面倒くさい」と感じてしまう可能性もあるという。「ゲーマー層と一般ユーザー層は、映画館に能動的に見に行くユーザーと、テレビから流れる映像を受動的に楽しむユーザーの関係性に近い」。

photo スマホユーザーの特性

 受動的な一般ユーザーに対し、どのようにゲームをアピールすればよいのか。「自分から見にこないユーザーには、こちらから届ける必要がある」と和尚さん。「『開発だけしていたい』『プロモーションは面倒』という気持ちはよく分かる」と前置きしつつ、「死にたいのか!!」と一喝する。「個人でゲームを作っていくのなら、販売担当も自分自身。知られていないゲームは、存在していないのと同じ」(和尚さん)。

 では、会社や組織に頼らず、個人でも可能なプロモーションとは何か。和尚さんは、難易度が低いプロモーションの例として「各種メディアやレビューサイトにプレスリリースを送る」「TwitterやFacebookで告知する」などを挙げる。特にTwitterなどでは、通称「開発者ブースト」というテクニックが有効という。

 「SNS上では、ゲーム開発者同士がつながっていて、リリースの投稿をシェアして応援し合う『優しい世界』ができている。意外と無視できない効果がある」。和尚さんが開発したパズルゲーム「a[Q]ua」の公開時には、宣伝ツイートが約300リツイートされ、インプレッションは約20万回、ダウンロードURLのクリック数は1000以上だったという。

 SNSを使ったプロモーションだと「口コミ」を狙う方法もある。他人に自慢したくなる要素、他人に見せたくなるネタなど、SNS上でシェアを促す仕掛けを用意することで、「ツボにはまってバズると爆発的な拡散力になる」という。

 昨年、大きな話題となったゲームアプリ「ひとりぼっち惑星」(ところにょりさん制作)もその一例だ。同アプリでは、一方通行のメッセージを送れる機能があるが、ユーザーが受け取ったメッセージをTwitterなどでシェアすることが流行した。「SNS文化とゲームシステムがかみ合った成功例だと思う」(和尚さん)。

photo 昨年のヒット作「ひとりぼっち惑星」は、口コミの成功例

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