木星の両極の上空で巨大なサイクロンが激しく渦を巻いているのが観測された。これまで木星の両極についてはほとんど明らかになっていなかったが、極域の大気はこれまで科学者が予想していたよりも乱流状態にあるようだ。
米航空宇宙局(NASA)の木星探査機「ジュノー」が2016年に木星の軌道を周回し始めて以降、木星の北極と南極で混沌とした気象状況が観測され、科学者を驚かせている。これまでこの巨大なガス惑星は比較的退屈で、内部は均質だと考えられてきた。
「一連の発見はそれが真実ではないことを示している。実際は全然違っており、非常に複雑だ」。米サウスウエスト研究所でジュノー主任研究員を務めるスコット・ボルトン氏は5月25日、そう語った。
極域には幅数百マイルのサイクロンが何十個も点在し、数千マイルにわたって巨大な気象系が形成されており、赤道付近とは様子が全く異なる。赤道付近は縞模様と大赤斑(巨大な暴風の渦)によって、すぐに木星と判別できる。
「私たちは皆、木星の姿をそういうものと捉えてきた。だが極点からだと、全く違って見える。木星がこのような姿をしているとは誰も思ってもみなかった」とボルトン氏。
同氏は一連の新発見を25日に発表した際、「地球を揺さぶる(Earth-shattering)というより、木星を揺さぶる(Jupiter-shattering)ような驚きだ」とコメントしている。
サイクロンは地球と同様、北半球では反時計回りに渦を巻き、明らかに両極の上空に集まっている。確認できたサイクロンの中には、直径が2800kmに達するものもあった。両極には、それよりさらに大きいが、定形のない気象系が存在している。ただしボルトン氏によれば、不思議なことに北極と南極それぞれの様子はあまり似ていないという。
科学者は今後、こうした巨大サイクロンが安定した形を維持するのか変化するのかを確認していく。「大赤斑のように、この先何年も同じ状態を維持するのだろうか。もちろん、時間が経ってみなければ分からないことだ」とボルトン氏は語る。
こうした巨大サイクロンがどのくらいの速度で移動するかも興味深い点だ。
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