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2017年07月28日 07時50分 UPDATE

がん患者はなぜ、民間療法という“幻想”に陥るのか (1/6)

がん患者は「民間療法」という幻想に陥りやすい。科学的根拠が乏しく、費用もかさむ民間療法になぜ飛びつくのか――。

[産経新聞]
産経新聞

 3年前の平成26年秋のことだった。九州大学教授の杉本雄二郎さん(59)=仮名=は福岡市内の総合病院の診察室で、主治医の言葉を待っていた。

画像 がんの標準治療

 パソコン上の画像を見つめていた医師が顔を上げ、杉本さんの目を見つめてこう告げた。「ステージ4です。余命1年半か、もっても2年です」。診断は血液がんの一種、悪性リンパ腫だった。

 「その後、どうやって自宅に帰ったか記憶にない。3日くらいは何も手につかなかった」

 30代後半から肺がんの手術を3回受けていた。肺に広がったがん細胞はすべて切除し、もうがんにおびえることなく暮らせると思った直後の余命宣告だった。

 しかし、生きる希望は捨てなかった。書籍やインターネット、怪しげな噂話まで、あらゆる情報を調べた。そんな中、妻がベトナムに東洋医学の“名医”がいるという情報を聞きつけてきた。

■ ■ ■

 翌27年1月、わらにもすがる思いで訪れたその医院はハノイの旧市街、薬屋が立ち並ぶ一角にあった。

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