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2017年08月15日 07時37分 UPDATE

botが「フェイク世論」でっち上げ 政権寄りの内容、Twitterに自動投稿 ロシアなどで (3/3)

[産経新聞]
産経新聞
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ネット利用の心構え

 米ワシントン・ポスト紙が昨年のリオデジャネイロ五輪でAIによる記事作成を導入するなどしており、ネット上で人間になりすますのはもうSFの話ではない。今後、ネットの隣人とどのように付き合っていったらいいのだろうか。

 SNSなどに詳しい鳥海不二夫・東大准教授によると、日本では宣伝用ブログなどへの誘導にボットが使われているが、直接、政治的メッセージのために効果的に使われたという話は聞いたことがないという。今のところ、SNS利用者の年齢層が低く、ネットの言論の影響が投票行動に必ずしも反映されていないなど、ネットでの政治活動の効果は低いためだ。もちろん平均年齢が上がるにつれ、ネットでの政治的プロパガンダが活発化する可能性は十分にある。ただ、ボットが活躍するようになっても、今の世の中とそれほど変わらないとみる。

 鳥海さんは、「フェイクニュース(偽情報)やデマを流すボットの存在は大きな問題だ」と話す。しかしボットによるSNS投稿自体は、誰かにしかできないなら問題だが誰でもでき、現在中心となっているビラまきなどよりもむしろ平等性は高いかもしれない。また、現在のネット社会がどうなっているかを意識していれば、たとえ見ている世論が作られたものであっても自衛はできるとする。

 「むしろ、ネットで世論を把握するには、エコーチェンバーという概念を意識する必要がある」と鳥海さんは指摘する。エコーチェンバーとは、自分の周りには自分の意見に同調する人が集まり、反対側の意見はあまり届いていない状態のことを指す。自分が見ているネット世論自体が、実際には偏っているのだそうだ。

 結局、プロパガンダに惑わされない最大の防衛は、自分の反対の意見の人たちの書いたものも読むなど、できるだけ多くの情報に接して、メディア・リテラシー(情報の評価能力)を磨くということに行き着くようだ。(科学部 原田成樹)

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