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» 2017年09月26日 15時51分 公開

赤ちゃんは「大人が奮闘する姿」を見て学ぶ 米MIT研究者

子供は親の背中を見て育つ。それが実証された形だ。

[AP通信]

 最初はうまくいかなくても、もう一度トライし、それでダメでもまた試す——。特に赤ちゃんの前では、こうした姿勢が大切なようだ。

 生後約15カ月の赤ちゃんは、大人が何かしらの課題に奮闘し成功する姿を見ることで、より粘り強く目標達成を目指すようになる可能性がある——。そうした最新の研究結果が発表された。

 この研究結果が示唆しているのは、大人が何かに奮闘する様子を子どもたちに見せることには価値がある、ということだ。「子供たちに一所懸命な姿を見せることで、子供たち自身も物事に一所懸命に取り組むようになる可能性がある」と研究者らは9月21日に学術誌「Science」で発表した論文で指摘する。

 この研究では、赤ちゃんたちは大人がしたことをただ真似たのではない。大人が取り組んだのとは違う課題を赤ちゃんに与えたところ、“粘り強くやり続けること”の大切さを学んだであろうことを示唆する結果が得られたという。

 米マサチューセッツ工科大学(MIT)の研究者らは、生後13カ月から18カ月(平均15カ月)の赤ちゃん計262人を対象に3つの実験を行った。

 基本的な手順は以下のとおりだ。2つのグループに対し、まず研究者が透明なプラスチック容器からゴム製のカエルを取り出す様子や、カラビナ(開閉できる部品のついた金属リング)からキーチェーンを外す様子を見せる。

 その際、一方のグループの前では、研究者はなかなか課題をクリアできずに30秒間奮闘する様子を見せた上で目標を達成する。もう一方のグループの前では、わずか10秒間でたやすく課題をクリアし、30秒間に3回その方法をやってみせる。どちらの場合も、研究者は「見て、中に何かあるわ。取り出してみましょうね! これでうまくいくかしら。ダメね。それじゃあ、こうしてみようかしら…」といったように、赤ちゃんに話しかけながら実験を進めた。

photo (Julia Anne Leonard via AP)

 赤ちゃんには、大人が課題をクリアする姿を見せた後、フェルトで覆った箱から音楽が流れる様子を見せ、自分でも音楽を流してみるよう促す。箱には大きな赤いボタンがついており、押せるようになっているが、押しても音楽は流れない。問題は、赤ちゃんがどのくらい粘り強くこのボタンを押してみるかだった。

 3つの実験いずれにおいても、研究者が課題を簡単にクリアするより、奮闘する様子を見せられた赤ちゃんの方がボタンを押す回数が多いとの結果が得られている。例えば1つの実験では、研究者の奮闘を見た後の赤ちゃんたちが平均23回ボタンを押したのに対し、研究者がそれほど苦労せずに課題をクリアできたのを見た赤ちゃんたちがボタンを押した回数は12回にとどまっている。この回数は、大人が課題に取り組む様子を見せずに最初からただ箱を渡した場合とほぼ同じだという。

 研究者が課題に取り組む際に、赤ちゃんと目を合わせたり、名前を呼びかけたり、赤ちゃんの注意を引くために高い声で抑揚を大きくつけて話したりなど、赤ちゃんと積極的にかかわりを持とうとした場合には、学びの効果はさらに強まるという結果も得られた。

 一連の研究結果は、赤ちゃんが「わずか数例からでも努力の価値を学ぶことができることを示している」とこの研究論文の上席著者であるローラ・シュルツ氏は語る。

 今回の研究では、こうした効果がどのくらい持続するかまでは確認できていない。親が自分の子供に対して同じ効果をもたらすことができるかどうかも不明だ。「ただし自分の子供の前で試してみる分には問題ない」ともう1人の著者であるジュリア・レナード氏は語る。

photo ジュリア・レナード氏(Image via MIT)

 ペンシルベニア州フィラデルフィアのテンプル大学で心理学助教を務めるエリザベス・ガンダーソン氏は、この研究結果には説得力があると評価。「目標に向けて努力を続けるという一般的な価値観を、こうした幼い赤ちゃんたちがすぐに理解できるとは驚きだ」とメールで述べている。同氏は今回の研究には参加していない。

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