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» 2017年10月25日 15時05分 公開

「赤ちゃんの泣き声への母親の反応は万国共通」と米研究者 育児で母親の脳も成長

母親の脳内の同じ部分が活発化する。

[AP通信]

 世界のどの文化においても、我が子の泣き声は母親の脳内の同じ部分を活発化させる——。そうした可能性を示唆する新しい研究結果が発表された。

 この研究では、世界11カ国の母親を対象に調査を実施。その結果、赤ちゃんが泣いているときには、どの国の母親も「抱き上げて話しかける」という反応を示す傾向にあることが分かった。また、そうした母親の反応が脳回路にプログラムされている可能性も確認された。

 この研究論文の著者である米国国立小児保健・人間発達研究所(NICHD)の研究者マーク・ボーンスタイン氏は、今回の研究結果をきっかけに今後、自分の子供を虐待する女性の脳の反応についての研究が進むことを期待している。赤ちゃんの泣き声は虐待を引き起こす一般的な要因とされている。

photo NICHDの記事(Image via NICHD)

 新しい研究結果は10月23日、米国科学アカデミー紀要(PNAS)で発表された。

photo 赤ちゃんの泣き声が母性を呼び覚ます?(AP Photo/Joerg Sarbach)

 研究者らは、世界11カ国の計684人の母親が自分の子供(生後5カ月前後)と接する様子を録画した映像を分析した。調査に参加したのは、アルゼンチン、ベルギー、ブラジル、カメルーン、フランス、ケニア、イスラエル、イタリア、日本、韓国、米国の母親たちだ。

 分析の結果、泣いている赤ちゃんに対し、多くの母親が「抱き上げて話しかける」という反応を示すことが確認できた。キスをしたり、他のことに注意をそらせようとしたり、授乳したり、ゲップをさせたりなど、「抱き上げて話しかける」以外の反応を示す母親はあまりおらず、こうした傾向に国による違いはみられなかった。

 次に研究者らは、母親のこうした反応に脳のどの部分が関係しているかを考察。被験者が何かをしたり言ったりするときに活発化する脳の回路、泣き声の意味を理解しようとするする行為に関係しているであろう脳回路、母親による育児で重要な役割を果たしているとされる脳の部位などに注目して分析を行った。

 脳スキャンの結果、米国の初産の母親43人については、自分の子供の泣き声の録音を聞くと、育児で重要な役割を果たすとされている脳の部位が実際に活発化することが確認できた。中国とイタリアの50人の母親についても同様の結果が得られた。中国の母親については、笑ったりバブバブ言ったりなど、泣き声以外の赤ちゃんの声に対し、脳が違う反応を示すことも確認できた。

 一方、子供のいない6人のイタリア人女性の脳は赤ちゃんの泣き声に対し異なる反応を示したことも確認できた、とボーンスタイン氏はメールで説明してくれた。

 「母親は自分の経験に基づき、わずか数カ月間で、赤ちゃんの泣き声に特に敏感に反応するよう自分の脳を形成できる。恐らくこれは育児中のホルモン変化によるものだ」と同氏は語る。

 エール大学の研究者リンダ・メイズ氏は、ボーンスタイン氏による研究の貢献点の1つとして、「母親になることが鍵刺激となり、脳の成長が成人期以降も続くこと」を示唆している点を挙げる。メイズ氏は今回の研究には参加していない。

 同じくエール大学の研究者ヘレナ・ラザフォード氏は、脳に関する今回の一連の研究結果は納得のいくものであり、「母親の反応や行動に文化を超えた一貫性があることを示している点でこの研究は重要だ」と指摘する。ラザフォード氏も今回の研究には参加していない。

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