北朝鮮のサイバー攻撃が世界中で猛威をふるっている。最近は「サイバー大国」と呼ばれる米国の報道機関が危機感をあらわにし、警戒を強めるようになった。最高指導者の金正恩朝鮮労働党委員長の高笑いが聞こえてきそうだ。一方で、北朝鮮が「最悪のサイバーテロ」とされるインフラ攻撃を起こし、人命を脅かす被害をもたらすだけの能力を持っているかどうかは専門家の間でも意見が分かれている。
(外信部 板東和正)
「世界はかつて北朝鮮のサイバー能力を嘲笑した。もはや、笑えない」
米紙ニューヨーク・タイムズ(電子版)は10月15日、こんな見出しで北朝鮮のサイバー能力を分析する特集記事を掲載した。記事は、北朝鮮が金正日政権からサイバー部隊の育成を重視した背景を説明した上で、サイバー能力が飛躍的に伸びた実態を語る専門家の声を紹介した。
北朝鮮によるサイバー部隊の育成は、金正日氏(1941〜2011年)が実権を持った後の1986年に始まった。2000年代前半にはすでに他国に攻撃を仕掛けていたとされるが、致命的な被害が発生した報告はない。
記事によると、かつての北朝鮮によるサイバー攻撃は、米ホワイトハウスや諜報機関が開設した小規模なウェブページに簡単な攻撃を仕掛け、北朝鮮の支持者が米政府をハッキングしたと主張する程度のものだった。
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