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» 2017年11月16日 17時37分 公開

「デジタル錠剤」が米国で初承認 課題はプライバシー保護 (1/2)

患者の服薬状況を医師に通知できる機能が抗精神病薬に組み込まれる。

[AP通信]

 米国の規制当局が、患者の服薬状況を医師に通知するための極小センサーを組み込んだ“デジタル錠剤”を初めて承認した。患者を監視する新たな方法として期待される一方で、プライバシーをめぐる懸念を引き起こすことも予想される。

 11月13日に承認されたこのデジタル錠剤は、既存の2つの製品を組み合わせたものだ。統合失調症や双極性障害の治療薬として長らく世界中で使用されている抗精神病薬「エビリファイ」に、2012年に初めて承認されたセンサーによる追跡システムが組み込まれている。

photo デジタルセンサーを内蔵したAbilify MyCite(Otsuka America Pharmaceutical, Inc. via AP)

 この技術が目標としているのは、例えば双極性障害の患者が躁病的症状を呈するなど、患者が薬を飲み忘れた場合に起こり得る重大な緊急事態を未然に防ぐことだ。

 ただし開発元である大塚製薬と米Proteus Digital Healthにはまだ解決すべき課題がある。まずこのデジタル錠剤は、実際に患者による服薬コンプライアンスの向上に有効であることがまだ証明されておらず、その点が確実になるまでは、恐らく保険会社はこの錠剤の保険適用を認めないことが予想される。またこのデジタル錠剤を活用するには、患者の側が、医師や介護者が自分のデジタルデータにアクセスすることを進んで受け入れる必要がある。

 製薬会社や医療機器メーカーが自社製品にシリコンバレーのIT技術を組み込む動きが進む中、こうしたプライバシーの問題は今後さらに重要な課題となりそうだ。

 専門家によれば、こうしたデジタル錠剤は便利なツールとなり得るが、一方では、患者が指示を守っているかを医師が確認できるようになることで、医師と患者の関係性が変わることも予想される。

 「自白薬を飲まされるようなものだ」とニューヨーク大学ランゴンメディカルセンターの医学倫理学者アーサー・カプラン氏は懸念を示す。「医者は私に怒鳴りつけるようになるのだろうか。非難めいた説教をされることになるのだろうか。医師と患者の関係はどのようになるのだろうか」

 ジョージタウン大学メディカルセンターの神経学教授であるジェームズ・ジョルダーノ氏は、この技術が患者のプライバシーを危険にさらす可能性を指摘する。医療データの漏えいや、監視ツールとしての無断使用などがあり得るからだ。

 「このような技術をリアルタイムの監視に使うことは可能なのかと問われれば、当然ながら答えはイエスだ」と同氏は危惧を示す。

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