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» 2017年12月04日 08時10分 公開

「絶滅生物」は生きていた……が、喜んでばかりいられない (1/4)

最近の研究で、既に絶滅したと思われている種が、実は力強く生き残っていたことが判明するケースが相次いでいる。それ自体は喜ばしいことだが、専門家は「単純に絶滅の回避を喜ぶだけでなく、なぜ危機に瀕したのかを考えることが大切だ」と警鐘を鳴らしている。

[産経新聞]
産経新聞

 地球環境の変化や人間の多様な営みの影響で、絶滅の危機に瀕(ひん)する生きものは多い。だが最近の研究で、既に絶滅したと思われている種が、実は力強く生き残っていたことが判明するケースが相次いでいる。それ自体は喜ばしいことだが、専門家は「単純に絶滅の回避を喜ぶだけでなく、なぜ危機に瀕したのかを考えることが大切だ」と警鐘を鳴らしている。

約80年ぶりの開花

 国立科学博物館、首都大学東京などの研究チームは今年11月、絶滅したと考えられていたラン科の植物「シマクモキリソウ」を発見し、栽培して花を咲かせることに成功したと発表した。

画像 79年ぶりに開花した「シマクモキリソウ」(国立科学博物館提供)

 シマクモキリソウは小笠原諸島に固有の極めて希少なラン。同諸島の父島では1938年に採取されたのを最後に、人の入植で自然環境が変わった影響などで絶滅したとされていた。

 だが今年6月、父島から約300キロ離れた同諸島の南硫黄島で同大などが10年ぶりに自然環境の調査を行ったところ、標高700メートル付近の雲や霧が頻繁に発生する雲霧帯という場所で、シマクモキリソウとみられる植物を発見した。生えていた株は未開花で種の鑑定が困難だったことから3株を採取して持ち帰り、同博物館の筑波実験植物園(茨城県つくば市)で栽培した。

 このうち1株が11月16日に開花。長さ約9センチの葉2枚の間から伸びた高さ約12センチの茎の先に、直径約1センチの花が7輪咲いた。花びらは緑色で、丸い形や細長い筋状の形をしている。

 DNA解析を行ったところ、本州などの比較的涼しい地域に分布するスズムシソウと近縁だが、遺伝的には明らかに異なっていることが分かった。亜熱帯の小笠原諸島で独自の進化をしたとみられる。

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