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» 2018年02月08日 07時32分 公開

ヤフーの次期社長は「Y」と「S」の“呪縛”を突破できるか (2/3)

[産経新聞]
産経新聞

 社長交代の会見で、宮坂氏は、ヤフーの頭文字のYの次という意味で名付けた「Zコーポレーション」で、「ヤフーでやらない、やれなかったことを探す」と述べたほか、「Zでやりたいことは何なのか。まず意志ありきだ。意志ありきで実現できるかを考える。『これが話題になっているからいいよね』、『海外で話題だよね』だからではない」と述べた。これまでの会見など公の場ではみられないほど解放感に包まれた表情で語ったこの発言は、「ヤフーでは他の企業などがやっていて、比較的安定して収益につながることしか模索できなかった」ということの裏返しととれる。

 つまり、宮坂氏がとらわれた第1の呪縛は、大企業ヤフーという「Y」の呪縛だったのではないだろうか。

 一方、もう一つの呪縛だと筆者が推測する「S」の呪縛とは、ヤフーの親会社で、同社議決権の4割超を握るソフトバンクグループや同社の孫正義社長(60)だ。

 「『アスクルの(個人向け通販サービス)ロハコは、アスクルがヤフーの傘下になったのに、なぜヤフーのサービスとしてはっきり名前を変えないんだ』という孫さんの発言に、宮坂さんは『せっかくアスクルとはいい関係にあるのに……』と苦笑していたそうです」。ソフトバンクグループ関係者が明かしたこのエピソードは、10兆円ファンドを通して海外のあらゆる企業への投資を進めている「世界の孫正義」のイメージとはかけ離れている。しかし、孫氏はいまだに、ヤフーの細かな事業やサービス名まで目を光らせているという。別の関係者も「孫さんがディテールにこだわるのは今も昔も変わらない」と話す。

 こうした孫氏の束縛への裏返しではないかと思える発言は、これまでの宮坂氏への取材で何度か耳にしてきた。28年4月のヤフー20周年の際のインタビューで、宮坂氏は「ソフトバンクグループは世界で仕事をやっている。僕は日本でネットをやっているので、日本によくなってほしいんだ」と述べるなど、ソフトバンクグループの傘下ではあるものの、独立した上場企業としての自負を強調。日本はビッグデータを活用したデータ立国を目指すべきだと熱く語っていた。

 宮坂氏は昨年のインタビューで、こちらの質問に対し、「その件は川辺に」とたびたび答えるなど、長年右腕として一緒に仕事をしてきた川辺氏に全幅の信頼を置いている。YとSの2つの呪縛も、川辺氏の思い切りの良さで突破できると信じているようだ。

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