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ふとんクリーナーは頭打ち レイコップが考える“次の一手”

» 2018年02月23日 12時42分 公開
[芹澤隆徳ITmedia]

 ふとんクリーナーで知られるレイコップが、新ジャンルの家電「ふとんコンディショナー」(略称:ふとコン)を投入する。ふとんクリーナーは、日本国内だけで累計490万台を販売したヒット商品だが、市場が成熟して「販売台数は頭打ち」(同社)。新カテゴリーの製品を順次投入し、新しい事業の柱に育てていく考えだ。

ふとんクリーナーの国内累計販売台数。レイコップ・ジャパンでマーケティングを担当しているオ・ジュヒ氏によると「市場が成熟して販売台数は頭打ち」という

 ふとんコンディショナー(略称:ふとコン)は、エアマットと呼ばれる高反発マットレスの中に温風を送り込み、睡眠中の温度をコントロールする新コンセプトの家電。人間の睡眠サイクルに合わせて寝床内の温度を上下させることで入眠しやすく、中途覚醒を抑制し、朝にはすっきりとした目覚めをアシストするとしている。

ふとんコンディショナー(略称:ふとコン)

 レイコップ・ジャパンでマーケティングを担当するオ・ジュヒ氏は、「レイコップは、(創業者、リ・ソンジン氏の)医師の知見をもって人々の生活をより良くする製品を提供するメーカー。そうした意味で、ふとんコンディショナーはふとんクリーナーの延長線上にある」という。価格は12万8000円(直販価格、税別)と高額ながら、年間3万台の販売を目指す。

 自信の背景にあるのは、日本国内における潜在的なニーズの大きさ。実はふとんコンディショナーを発案したのは日本法人のレイコップ・ジャパンという。製品開発は韓国の拠点で行ったものの、現時点で発売が決まっているのも日本のみ。日本で考案された日本人向けの製品だ。

レイコップ・ジャパンで商品企画を担当する武藤真嗣氏は睡眠時の環境を整えることの重要性を訴えた

 同社によると、日本人の睡眠時間はOECD加盟国の中でも短いほうで、多くの人が“眠り”に関する悩みや不満を抱えているという。2月22日の新製品発表会に登壇した医療法人みなとみらいの田中俊一理事長は、「日本人は忙しくなり、年々睡眠時間が減っている」と指摘。特に働いている人の睡眠時間の減少は顕著で、県別に見ると最も睡眠時間が短いのは神奈川県。田中氏は「(東京への)通勤にかかる時間のぶん、睡眠の時間が削られている」と話している。

「日本人は忙しくなり、年々睡眠時間が減っている」と指摘する医療法人みなとみらいの田中俊一理事長

 レイコップはターゲットをビジネスマンに絞ったマーケティングを展開する。「いい仕事は、いい睡眠で決まる」をスローガンに社員の「シエスタ」(お昼寝)を公認してくれる企業を募集。ふとんコンディショナーを無償提供するという。「仮眠スペースにふとコンを設置し、仕事中のリフレッシュに役立ててもらう」(同社)

 製品発表会では先行して導入したIT企業Speeeの例を上げ、「短時間の睡眠でも頭がすっきりとした」といった社員の声も紹介した。新カテゴリー製品だけに“体験の場”を増やして認知度の向上を図る。

試験的に導入した企業の例。「シエスタ」公認企業の応募期間は8月31日まで。公式サイトの専用フォームで応募を受け付ける

 また新しい家電の開発はふとコンにとどまらない。これまでレイコップは「睡眠」の分野に注力してきたが、今後は「生活環境そのものをケアするところまで守備範囲を広げる」(レイコップ・ジャパンで商品企画を担当するプロダクトマネジメント課の武藤真嗣課長)という。武藤氏は詳細を語ることは避けたが、「近々、また製品を発表できるようにしたい」と話していた。

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