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» 2018年03月09日 06時37分 公開

常識破る「鉄系」の高温超電導物質を発見 細野秀雄・東京工業大教授 (1/3)

極低温で物質の電気抵抗がゼロになる「超電導」。鉄はこの現象が最も起きにくいとされていたが、東京工業大教授の細野秀雄さんは2008年、世界の常識を打ち破る鉄系の高温超電導物質を発見し、停滞していた超電導研究に再び火を付けた。

[産経新聞]
産経新聞

 極低温で物質の電気抵抗がゼロになる「超電導」。鉄はこの現象が最も起きにくいとされていたが、東京工業大教授の細野秀雄さん(64)は2008年、世界の常識を打ち破る鉄系の高温超電導物質を発見し、停滞していた超電導研究に再び火を付けた。

画像 細野秀雄・東京工業大教授=横浜市の同大すずかけ台キャンパス

 超電導現象は1世紀前から知られていたが、マイナス273度の絶対零度近くまで冷やさないと起きないため、すぐに実用化するのは困難だった。1986年、高温で超電導を示す銅の酸化物が発見され、研究は一気に加熱。しかし、銅酸化物系の有望な物質探しはすぐに行き詰まった。

 この閉塞(へいそく)状況に突破口を開いたのが細野さんだ。超電導と相性が悪い磁石の性質を持ち、最も不向きだとされていた鉄に着目。「単体の鉄は超電導に向かないが、化合物なら性質は変わるはずだ」。予想は的中した。

 細野さんは無機材料に詳しい「化学屋」で、物理現象である超電導は専門外だった。だが研究の信条は常識にとらわれず、独自性を大切にすること。人とは違う道をあえて歩み、新たな“鉱脈”を掘り当てた。

 鉄というありふれた物質を使うアプローチは魅力的で、すぐに世界的な開発競争の標的となり、近年も新たな成果が日進月歩で報告されている。

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