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» 2018年04月06日 07時10分 公開

「マグロ好みの食感」とは? 日本水産の完全養殖はこれが“切り札”だ (1/3)

クロマグロの完全養殖に水産大手が相次ぎ参入している。近畿大のほか、マルハニチロ、極洋に続いて日本水産も3月に出荷を開始。天然物の枯渇が懸念される中、完全養殖の定着・拡大に寄せられる期待は大きい。

[産経新聞]
産経新聞

 “黒いダイヤ”とも呼ばれるクロマグロ(本マグロ)の完全養殖に水産大手が相次ぎ参入している。世界初の快挙を成し遂げた近畿大のほか、マルハニチロ、極洋に続いて日本水産も3月、平成30年度に7500尾・350トンの出荷を開始すると発表した。世界的な日本食ブームなどを背景に天然物の枯渇が懸念される中、品質や生産量の安定した完全養殖の定着・拡大に寄せられる期待は大きい。

画像 初出荷間近の完全養殖マグロを紹介する日本水産の小林雄二執行役員=3月7日、東京都港区白金台の八芳園(山沢義徳撮影)
画像 近畿大が世界で初めて養殖に成功したクロマグロ=和歌山県串本
画像 イオンがプライベートブランド(PB)商品として発売した完全養殖マグロ=東京都江戸川区(永田岳彦撮影)

 「刺し身用マグロの国内消費量は年間40万トンに上る一方、国産養殖の供給量はまだ1万5000トンに過ぎず、今後の需要拡大は間違いない」

 日本水産の養殖事業を統括する小林雄二執行役員は新事業の有望性をそう強調する。同社は、鹿児島県薩摩川内市の養殖場で育てたクロマグロを「喜鮪(きつな)金ラベル」のブランドで販売。大分県や長崎県の養殖場にも広げて31年度には1000トンに増やす計画で、「将来的には海外輸出も目指したい」(小林氏)と意気込む。

 世界を見渡すと、水産品の年間生産量1億6000万トンのうち養殖の割合は45%にも上るが、天然物が好まれる日本市場ではまだ25%前後にとどまっている。

 一方で、太平洋に生息するクロマグロの親魚の推計資源量は約1万7000トン(26年)と、半世紀前の16万トンから激減した。水産庁が今年1月、マグロ漁獲枠の国際合意を厳守するために罰則付きの法規制を導入したニュースは記憶に新しい。天然の稚魚を育てる「養殖」と異なり、養殖魚の卵を成魚まで育てる「完全養殖」は、水産資源を保護しながらおいしいマグロを将来にわたって食べ続けるための有力な手段だ。

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