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多数のセンサーとLTEを搭載した業務用Android端末、ビッグローブが発売

» 2018年04月11日 18時40分 公開
[村田朱梨ITmedia]

 ビッグローブは4月11日、業務用のIoTデバイス「BL-02」の販売を開始した。2.8インチのディスプレイを搭載したポータブルタイプのAndroid端末。接客業向けの多言語翻訳端末や、労働状況を可視化する行動センシング用端末など、さまざまな用途に活用できるという。

photo IoTデバイス「BL-02」。約102グラムのAndroid端末だ
photo 多言語翻訳端末としての利用イメージ

 ビッグローブの松田康典執行役員常務は、企業のIoT活用が進まない理由として、最適なデバイスや通信を選択するのが難しいこと、エッジ処理プログラムの開発が難しいこと、収集したデータを有効活用できないことの3点を挙げ、「BL-02がこうした課題解決の一助となれば」と話す。

photo ビッグローブの松田康典執行役員常務

 BL-02は、加速度センサー(3軸)、ジャイロセンサー(3軸)、地磁気センサー(3軸)、気圧センサー(1軸)、GPSなどを内蔵し、単体で位置情報や加速度、気圧データなどを収集できる他、Bluetoothや無線LANで外部センサーからもデータを集められる。収集したデータはLTE通信(au、NTTドコモ)で送信、クラウドに蓄積できる。

 「BL-02は多様なセンサーを搭載しているのでセンサーの選定で困ることはない。センサーの追加が必要な場合もゲートウェイ機能で連携できる他、LTEのモバイル通信で屋外でもクラウドやAIと連携できる。Android端末なのでプログラムの開発も比較的容易で、(企業は)試験導入から商業導入までスムーズに移行できるだろう」(松田氏)

photo BL-02の特徴

 例えば、工場ではスタッフにBL-02を持たせて動線を分析し業務を効率化する、位置情報などを活用して危険な場所を特定するといった使い方ができる。また在宅医療の分野では患者にBL-02を携帯してもらい、バイタルデータや行動データを集めて「見える化」し、万が一の事故や怪我に備えるといった用途も想定している。

photo 行動センシングの活用例

 またAndroid端末のため、業務に合わせて柔軟にアプリを開発できるのもBL-02の特徴という。小田急百貨店でNECが行った実証実験では多言語音声翻訳の端末として使われたが、ここでは「組曲」(ブランド)や「銀の鈴」(東京駅構内のモニュメント)などの固有名詞を登録した翻訳が可能になっているという。

photo 実証実験の様子
photo 固有名詞を登録した翻訳の例

 こうした接客の現場では、スマートフォンとは明らかに異なる「業務用の端末」と分かる外観もポイント。「接客業などでは、スマホを使っていると『遊んでいる』というイメージをお客さまに与えるから嫌だという人も多い。何気ない話だが、大切なことだ」(松田氏)

 BL-02の開発用サンプルは3万9800円(税別)。ビッグローブでは、オプティム、マルティスープ、バンプレコーダーなどのパートナー企業とパートナーシップを結び、AIを活用したデータ分析や行動センシングといった企業向けIoTサービスを提供していく考えだ。

 「どこに誰がいるかを把握して無駄を省いたり、迅速な対応を可能にしたり、優秀な人の動きを使って新人教育をしたり、使い道はどんどん広がる。幅広くBL-02を使っていただき、お客さまのIoT化を支援できれば」(松田氏)

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