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» 2018年05月10日 06時33分 公開

転倒する家具、迫り来る炎に熱風……リアルな災害を五感で体験「VR防災」活用進む (1/3)

VR技術を活用し、防災に役立てようとする取り組みが行政や民間企業で広がっている。東京消防庁が国内で初めて「VR防災体験車」を運用。乗車してみると、災害で転倒する家具や、目前で燃え広がる炎の迫力に圧倒された。

[産経新聞]
産経新聞

 VR(仮想現実)技術を活用し、防災に役立てようとする取り組みが行政や民間企業で広がっている。4月下旬、東京消防庁が国内で初めて運用を開始した「VR防災体験車」に実際に乗車してみると、災害で転倒する家具や、目前で燃え広がる炎の迫力に圧倒された。体験者一人一人の危機意識を高めるのが狙いで、専門家は「災害を自分のこととして認識できる」とVR活用の効果に期待を寄せる。(社会部 上田直輝)

五感で体験

画像 VR防災体験車の運用開始セレモニーで、小池百合子都知事(中央)や村上研一消防総監(右)がテープカットした=4月21日、東京都渋谷区の消防技術安全所(上田直輝撮影)
画像 VR防災体験車の運用開始セレモニーで、小池百合子都知事(中央)も体験乗車した=4月21日、東京都渋谷区の消防技術安全所(上田直輝撮影)
画像 東京消防庁の「VR防災体験車」で、専用のゴーグルに映し出された映像。家財道具が倒れ、食器が飛び出してくる(東京消防庁提供)
画像 東京消防庁の「VR防災体験車」で、専用のゴーグルに映し出される火災現場の映像。体験車では焦げ臭さや熱風の演出も(東京消防庁提供)
画像 東京消防庁の「VR防災体験車」で、専用のゴーグルに映し出された映像。浸水した路上を車で走行中、雨が吹き込んでくる(東京消防庁提供)
画像 記者もVR防災体験車に体験乗車。臨場感あふれる映像に圧倒された=4月21日、東京都渋谷区の消防技術安全所

 「うわっ」。転倒する家具に目前で燃え広がる火、熱風、におい……。あまりのリアルさに、思わず声を上げていた。

 赤い車体に“VR BOSAI”の文字。東京消防庁が導入した「VR防災体験車」は全長約12メートルのトラック内部に8人分の座席を備える。専用のゴーグルを着用することで360度の立体映像が映し出され、展開に応じてシートが揺れたり、空気や水しぶき、熱を発したりすることで臨場感あふれる疑似体験ができる。

 体験車では「地震編」「火災編」「風水害編」の3つの災害をそれぞれ約3分間で体験できる。ゴーグルを装着してピントを合わせ、座席に座ると、いよいよ疑似体験の始まりだ。

 火災編では、キッチンで料理中の鍋が炎上したという想定。座席からは焦げ臭いにおいとともに熱風が吹き出し、本当の火事を前にしているようで思わず慌てる。消火器の使い方に戸惑っているうちに火は大きくなり、なんとかしようと机にあったお茶をかけると火は爆発するかのように一気に炎上した。「実際の火災現場だったら……」と考えると、背筋に冷たいものが走った。

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