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» 2018年05月23日 06時34分 公開

裁判員制度9年 取り調べ録画の印象「判断に影響」 撮影方向の見直し論高まる (1/2)

取り調べの録音・録画(可視化)をめぐり、撮影方向の見直し論が高まっている。容疑者を正面から撮影する現行方式では「『強制でなく自発的に供述している』印象を裁判官や裁判員に与えやすい」との指摘が出ているためだ。

[産経新聞]
産経新聞

 裁判員裁判の証拠としても使われる取り調べの録音・録画(可視化)をめぐり、撮影方向の見直し論が高まっている。容疑者を正面から撮影する現行方式では「『強制でなく自発的に供述している』印象を裁判官や裁判員に与えやすい」との指摘が専門家から出ているためだ。東京高裁で供述の任意性や信用性などが争われている栃木女児殺害事件でも録画が証拠の一つとなっており、日本弁護士連合会は「撮影方向の速やかな変更」を求める要望書を提出した。

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 「人は自分が見ている人が会話の主導権を握っていると考える傾向にある」。取り調べ録画のインパクトを研究する成城大の指宿信教授(刑事訴訟法)は、映像が視聴者に無意識のうちに与える「バイアス(偏り)」の存在を指摘する。

 現在、検察が採用しているのは、容疑者にカメラを向けたSF(サスペクト・フォーカス)と呼ばれる撮影方向。このほかに、取調官を撮影するDF(ディテクティブ・フォーカス)、容疑者と取調官の両方を横方向から撮影するEF(イコール・フォーカス)があるが、撮影方向によって異なる印象を与えることは、以前から指摘されてきた。

 米心理学者が1980年代に行った実験では、SFで視聴した者は「容疑者が自発的に供述している」とする印象を抱き、DFの視聴者は「取調官が供述を強制している」との印象を持つ、との傾向が示された。指宿氏らが平成20年に実施した実験でも同様の結果が出たという。

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