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» 2018年06月18日 07時50分 公開

AIで絵画鑑定 光源氏の顔で流派見抜く 「幻の絵巻」の判定結果は…… (1/3)

日本絵画の絵師の流派を判定する人工知能が登場した。源氏物語を描いた絵画の中に、わずかな差異を見つけ出し、95%以上の精度で専門家と同じ判定を下した。

[産経新聞]
産経新聞

 日本絵画の絵師の流派を判定する人工知能(AI)が登場した。源氏物語を描いた絵画の中に、わずかな差異を見つけ出し、95%以上の精度で専門家と同じ判定を下すことができた。人間が知らない特徴をつかんでいる可能性も判明。AIが専門家の目を超える日も近そうだ。

人間関係のしがらみなく判定

画像 米メトロポリタン美術館が所蔵する「源氏物語絵巻」で、光源氏と目される人物(左)。人工知能が最も着目している部分を赤く着色(右)したところ、耳の部分を流派判定に使っていることが分かった(小長谷明彦・東京工業大教授提供)

 AIを開発したのは東京工業大と恵泉女学園大の研究チーム。「幻の源氏物語絵巻」と呼ばれる絵の流派を巡る長い論争に決着をつけたいというのが、研究の発端だった。

 源氏物語を題材にした絵は「源氏絵」と呼ばれる。源氏物語は古くから人気のあるモチーフで、さまざまな時代の絵師が巻物や扇、画帖などに描いた作品が数多く残されている。

 源氏絵の絵師には土佐派や狩野派、岩佐派、住吉派といった流派があり、それぞれ独特の個性がある。これらの流派は貴族など支配者層と関わりが強かったとされるが、在野で絵を描くことを生業とした町絵師もいた。

画像 ニューヨークのメトロポリタン美術館が所蔵する「源氏物語絵巻」。下段の左上に座る男性が光源氏だとされる(同美術館提供)

 絵師の流派が論争の的となっているのは、米ニューヨークのメトロポリタン美術館や石山寺(滋賀県大津市)などが所蔵する江戸時代前期の「源氏物語絵巻」。「江戸末期の書物には土佐派と書いてある」「やまと絵や漢画を学んだ町絵師の集団制作だ」「松の描き方が土佐派には見えない。京狩野だ」などと、専門家の間でも意見が割れている。

 そこで、京狩野説を唱える恵泉女学園大の稲本万里子教授(日本美術史)がAIでの判定を発案。「流派判定には人間関係のしがらみがある。偉い先生がこうと言ったら異論を挟みにくい。AIならバイアス(偏り)なく判定をしてくれる」と期待し、東工大の小長谷明彦教授(知能情報)らと共同研究を始めた。

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