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» 2018年06月25日 06時50分 公開

中絶認めたアイルランド SNSが「歴史的な転換」後押し (1/2)

人工妊娠中絶の合法化の是非を問うアイルランドの国民投票は、圧倒的多数で賛成派が勝利した。国民の多くがカトリック教徒のアイルランドで起きた「歴史的な転換」。有権者がSNSで呼び掛け合い、投票のために一時帰国する動きも。

[産経新聞]
産経新聞

 5月下旬に行われた人工妊娠中絶の合法化の是非を問うアイルランドの国民投票は、圧倒的多数で賛成派が勝利した。国民の多くが中絶に否定的なカトリック教徒であるアイルランドで起きた「歴史的な転換」だが、同性婚の合法化が決まった2015年から保守的な同国の気風が薄らいだと指摘する声は多い。一方、同じく中絶をほぼ全面禁止する英領北アイルランドでは、アイルランドの結果を受けて合法化するか否かで意見が割れている。

 「国として一人前になった日、世界の国々と並び立った日だ」。英BBC放送(電子版)は5月27日、アイルランドのバラッカー首相が年内に妊娠12週未満の中絶を容認する合法化に向けた法整備を推進すると伝え、国民投票の結果を支持するアイルランド人女性の声を紹介した。BBCなどによると、住民投票ではほとんどの州で性別や年齢に関わらず合法化を希望。賛成票を増やそうと在外有権者がSNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)で呼びかけ合い、投票だけのために一時帰国する動きが広がったという。賛成派が合法化の追い風を作った背景にあるのは、「女性にとって過酷な中絶禁止の規定」(有権者)だ。現在、アイルランドでは、中絶は出産で母親に生命の危険がある場合に限って認められ、性的暴行や胎児の異常が理由であれば違法となる。賛成派のバラッカー氏は、アイルランドでは毎年、数千人の女性が中絶のために外国へ渡ったり、インターネットで注文したピルを飲む女性がいることを明らかにしていた。

 賛成派が圧勝した要因について、同性婚合法化に6割が賛成した15年の同国の国民投票から中絶容認への「流れができていた」と指摘するアイルランド政治の研究者は多い。この国民投票を現地で調査した駒沢女子大の弥久保(やくぼ)宏教授は「賛成派の勝利に沸いたダブリン市内では『次は中絶容認だ』と書かれたプラカードや垂れ幕であふれていた」と振り返る。その上で「その後の数年で国全体の保守的傾向が弱まり、カトリック教徒の中でも若い世代を中心に教会よりも人間の尊厳を重視する風潮が強くなった」と分析する。

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