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ボーズが作った“眠り”をサポートするイヤフォン「sleepbuds」を体験した(2/4 ページ)

» 2018年07月11日 13時21分 公開
[山本敦ITmedia]

再生するとノイズが消える

 筆者も今回のイベントに参加してBose sleepsoundの効果を短時間ながらも体験してきた。イヤフォンの本体にはリモコンが搭載されていないので、sleeptrackの選曲と再生・停止などの操作はスマホと専用アプリの「Bose sleep」から行う。スマホは音楽ストリーミングをしない代わりにリモコンとして重要な役目を果たしている。

イヤフォンを装着したイメージ。本体がとても小さいことが分かるだろうか

 いびきのダミー音源を再生するスピーカーが傍らに置かれた状態でBose sleepbudsを身につけ、アプリから「Rustle/木の葉のざわめき」を選んで再生してみる。確かにいびきがsleeptrackに隠れて聞こえなくなった。ノイズキャンセリングイヤフォンのように、電源をオンにした時に耳の中にツンと圧がかかる感覚もない。隣の家で人が集まってザワザワとしているような生活ノイズのダミー音源も、「Downstream/川のせせらぎ」を再生してみると立ち所に聞こえなくなった。これは面白い。

イヤフォンのコントロールはモバイルアプリ「Bose Sleep App」から行う

 「約32秒の短いsleeptrackをループ再生して、小川のせせらぎのようなマスキングサウンドがずっと流れている環境を作り出しています。眠りについたあとから、側でいびきが聞こえてくることもあると思うので、基本的にはトラックを再生したまま、入眠から目がさめるまで過ごしていただきたいのですが、寝ている間にずっと音が鳴っていることが気持ち良くないという方もいると思います。アプリには“スリープタイマー”機能があるので、入眠後に指定した時間が経つとsleeptrackが停止します」(リー氏)

sleeptrackを再生すると、いびきや生活騒音がマスキングされて知覚しづらくなる

 sleeptrackはイヤフォンに内蔵されているフラッシュメモリーにスマホアプリから転送する。製品の発売後にアプリのアップデートで新しいsleeptrackを追加する予定もある。ユーザーはアプリ上で音源を試聴して、好みの10曲をイヤフォンに保存しておける。リー氏は「人が心地よいと感じる音には個人差があるので、例えば同じ“小川のせせらぎ”にもさまざまなパターンのsleeptrackを用意して選べるようにしたい」と説明する。

マスキング音源をスマホから選択したり、再生、停止、音量操作もアプリから行う

 Bose sleepbudsは特殊なsleeptrackで入眠効果を高めるだけでなく、寝たまま身に着けて不快感がないように装着感を最適化している。軽くて小さな本体に、独自のイヤーチップ「StayHear+ Sleep tips」を装着すると柔らかなフィット感が得られる。音を鳴らさなければイヤフォンの存在を忘れてしまうほど。着けたまま枕に耳を押し付けても気にならなかった。アクティブノイズキャンセリング機能のようにマイクや複雑な電気回路を必要としない「ノイズマスキングテクノロジー」が搭載されているからこそ、本体がここまで小さくできたのだ。駆動効率が高く、ユニットのサイズも小さいBA型ドライバーがボーズのイヤフォンとして初めて採用された。

目覚ましタイマー機能や、眠っている間にsleeptrackの再生を自動的にフェードアウトさせるスリープタイマー機能がアプリから設定できる
駆動効率の良さとコンパクトサイズであることからバランスド・アーマチュア型ドライバーを採用している

 イヤフォンを駆動するためのバッテリーには、長寿命で給電能力が安定している充電式の酸化銀電池を採用している。リー氏は、長時間の連続再生を繰り返しても電池が熱を持たないことから、眠りながら使うイヤフォンとしての安全性も考慮して選んだとしている。ゆっくり蓄電・放電する性質を持つ電池なので、専用ケースに入れて満充電にかかる時間が約8時間ほどになるが、一方ではフル充電から約16時間の連続駆動に対応する。つまり一晩中sleeptrackをかけっぱなしにしても大丈夫というわけだ。

本体を構成するパーツもシンプル。ハウジングは密閉型構造として通信用アンテナをレーザー加工によって成形している。電源には充電式の酸化銀電池を内蔵

 Bose sleepbudsは片耳だけでも使えるが、両耳に装着している状態でsleeptrackを再生していても、人に声をかけられたり、高い音で響くアラーム音などは普通に聞き取れる。寝ている時に何も聞こえなくなる心配は少なそうだ。リー氏に訊ねると、sleeptrackのマスキング効果とイヤーピースの構造に工夫を加えて外音を聞き取れるようにバランスをコントロールしているようだ。また朝起きる時のために目覚まし機能も搭載している。その他、寝汗をかいても大丈夫なようにイヤフォンはIPX4相当の防滴加工とした。

柔らかいシリコン製の「StayHear+ Sleep tips」を、本体をくるむように装着する

 旅行などの機会にうっかりイヤフォンをなくしてしまった場合は、イヤフォンだけを買い直せる。ただし、あらかじめペアリングされた左右のイヤフォンが必要になるため、両方買い直しということになるのだが、北米では162ドル(約1万7800円)で提供するサービスを検討しているようだ。

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