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» 2018年07月13日 06時41分 公開

映画に広がるVRの世界 「体験エンタメ」定着するか (1/2)

VR映画の市場が広がろうとしている。映画館のシートに座ってVRヘッドセットを着用し、VR映画を鑑賞する試みがスタート。「SKIPシティ国際Dシネマ映画祭2018」ではVR映画上映のプログラムが設けられた。VRを映画館や映画祭のような場で体験するエンターテインメントは定着するか?

[SankeiBiz]

 VR(バーチャルリアリティー、仮想現実)映画の市場が広がろうとしている。PCメーカーのVAIO(長野県安曇野市)、映画会社大手の東映(東京都中央区)、映像制作のクラフター(東京都港区)では、映画館のシートに座ってVRヘッドセットを着用し、VR映画を鑑賞する「映画館でVR!」の試みを7月2日からスタート。7月13日開幕のSKIPシティ国際Dシネマ映画祭2018では、今回からVR映画上映のプログラムが設けられた。6月に日本で開かれていたショートショートフィルムフェスティバル&アジア2018でもVR360°プログラムを上映。こうした試みを経て、VRを家だけでなく、映画館や映画祭のような場で体験するエンターテインメントが定着するかに映像業界の関心が向いている。

家などでは味わえないVR体験

 「自宅やスマホからでも気軽に映像を楽しめる状況で、新たな映画の形としてVR映画をお届けし、映画館に訪れて頂くバリューを高めていきたい」。東京都新宿区の新宿バルト9で6月26日に開かれた「映画館でVR!」の発表会見で、東映取締役企画調整部長の村松秀信氏はこう話して、VR上映が映画館の集客増につながる可能性に期待した。映画館ではこれまでも、シートが動き光や風などの演出も加わった4Dや、ハイクオリティの映像や音響を体験できるIMAXなどを導入し、映画館ならではの鑑賞体験ができるようにして来た。VR上映も映画館ならではの鑑賞プログラムとして観客にアピールしたい考えだ。

画像 「映画館でVR!」上映作品紹介ポスター
画像 「夏をやりなおす」を体験中のSTU48。VR空間で少女が眼前に迫ってくる場面で身をすくめる

 VRについては、ゲーム機のプレイステーション4に接続して楽しむプレイステーションVRや、スマートフォンを挿入して楽しむGear VRが浸透し、対応タイトルも続々と登場。2018年に入ってからは、フェイスブックのOculus Go(オキュラス・ゴー)やレノボのMirage Solo(ミラージュソロ)といった、PCなどとの接続を必要としない、それ1台でVRを体験できるスタンドアローン型VRヘッドセットも登場して、個人での利用が伸びようとしている。映画興行には逆風とも言えそうだが、VAIO執行役員副社長の赤羽良介氏は、「劇場で多人数が同時にVR体験をする魅力」を指摘。映画館の迫力ある音響を生かし、VR映像とともに提供することで、家などでは味わえないVR体験が可能になると訴える。

 「映画館でVR!」では、観客はシートに座った状態でVRヘッドセットを装着するが、ヘッドフォンなどは着用せず、劇場内のスピーカーを使って流されるサウンドを耳から直接聞く。「周囲の気配が聞こえてくる。ホラーなら隣の人の悲鳴、コメディは笑いが聞こえる。音楽ライブVRはみんなで盛り上がれる」とクラフターの古田彰一社長。6月26日の発表会見では、瀬戸内地方を拠点に活動するアイドルユニット、STU48のメンバーがクラフター制作の「夏をやりなおす」というホラーテイストのVR作品を体験した。メンバーの今村美月さんは、「後ろから音が聞こえて自分がその世界にいるよう。誰かが悲鳴をあげたら臨場感が増してさらに怖くなった」と、スピーカーから音を聞く「映画館でVR!」ならではの楽しさを話してくれた。

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