とはいえ、全天球動画をそのまま共有できるサービスはまだ限られているし、全天球のリアル感を楽しむにはハコスコのような簡易VRプレーヤーやOculus VRが必要だ。ちょっとハードルが高い。
そこで、最近全天球動画カメラが備えているのが、全天球動画から部分的に切り出してHD動画を作る機能だ。GoProでは「オーバーキャプチャ」と読んでいる。
操作は簡単。
動画をスマートフォンに転送し、再生モードにし、録画ボタンを押して「全天球動画を再生しながらスマートフォンを操作して拡大縮小や方向」を変更し、その模様を動画として残すもの。
これ、実はすごく有用な機能だと思うのである。
360度動画といっても撮った後で見せたいポイントというのはあるわけで、それをうまく表現できるし、どんなデバイスやサービスでもシェアできるのだ。
今回、マンションの中庭にFusion Gripを使ってGoPro Fusionを立て、その周囲をドローン(Ryzeのトイドロ−ン、Tello)を飛ばしてみた。
全天球を撮影しているのでドローンがどこを飛んでても捉えているわけで、ドローンを追いかける感じであとからオーバーキャプチャしてみたのである。
操作は楽しい。再生しながらドローンがいる方向を向きつつ、2本指でうまいこと拡大縮小してやれば、自動的にそのもようが動画になるのだ。
そうして作った動画がこちらだ。
さすがにドローンをカメラにぶつける事故が怖かったのであまりギリギリの飛行はしてないけれども、もうちょっと上手にとればけっこう迫力の映像が作れそうだ。
もう一つ、Fusion Gripを伸ばして持ち、高い位置から撮った全天球動画をオーバーキャプチャして動画にしたのはこちら。
高い位置で歩きながら撮るとちょっとドローンで撮影した風になって面白い。
といろいろと使ってみたわけである。
で、GoPro Fusionは全天球カメラとしてどうなのか、というと、全天球写真を気軽に扱うのならリコーのTHETAの方が簡単だし(少なくともあとからステッチする手間はいらない)、オーバーキャプチャ機能を含む全天球動画を気軽に楽しむならInsta 360 Oneの方が安くていいかなという感はある。
カジュアル系カメラの方がカジュアルに使えるのだ。
GoPro Fusionが狙っているのは、そことはちょっと違う。
もうちょっとアクティブな作品作りに向いてるって感じだ。
5Kの動画を撮れるクオリティはさすがで、その分処理も重くなるわけだが、PC上で「GoPro Fusion Studio」を使ってきっちりレンダリングして素材として使って作品として仕上げるとなると、Go Pro Fusionのメリットは出てくる。
手軽さというよりは、もうちょっと凝ったことをしたい少し上のレベルを狙った製品だ。
今回水没はさせてないけど、水辺でも安心して使えるのでアウトドアにはいい。過酷な環境で使うには、レンズを傷つけやすそうで怖いけれども、まあそういう現場でこそのGoProなわけで、そういう視点で見れば、GoPro Fusionは実にGoProらしい全天球カメラなのだった。
ITmedia NEWS編集部がYouTubeでお届けするライブ番組「ITmedia NEWS TV」で、この記事を取り上げています。ぜひ視聴・チャンネル登録をお願いします。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
Special
PR