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» 2018年08月02日 07時05分 公開

退去か継続か 京大・吉田寮の「百年戦争」、最終局面へ (1/3)

京大「吉田寮」は国立大で現役最古の学生寮だが、大学側は老朽化による危険性を指摘し、9月末までの全員退去を求め、寮生は反発。寮生側は、歴史ある寮について広く知ってもらおうと、「吉田寮ツアー」を始めた。

[産経新聞]
産経新聞

 大正2(1913)年建築の京都大「吉田寮」(京都市左京区)は、小説家・梶井基次郎やノーベル賞を受賞した赤崎勇博士も暮らした、国立大で現役最古の学生寮だ。その吉田寮が揺れている。大学側は老朽化による危険性を指摘し、9月末までの全員退去を求め、寮生は反発。寮生側は、歴史ある寮について広く知ってもらおうと、「吉田寮ツアー」を始めた。一般には近寄りがたい、入りづらいといったイメージがある吉田寮。木造建築の中には、社会とは違った時間が流れているような空間が広がっていた。(池田祥子)

画像 大正時代に建てられた国立大の現役最古の学生寮「吉田寮」の玄関=京都市左京区
画像 吉田寮内の廊下=京都市左京区
画像 階段は大正当時の様子が伝わる=京都市左京区

築105年の異空間

 ツアー開始に先立ち吉田寮旧棟内を訪ねた。

 京都大吉田キャンパスの敷地内の南側にたたずむ古い木造2階建ての建物。「京都大学 吉田寮」と記された木造看板が掲げられた入り口に近づくと、玄関脇の小部屋から寮生が奏でるピアノのメロディーが流れてきた。

 旧棟は、玄関や共有スペースがある管理棟と、寮生が生活する3棟からなる。築105年の古い木造の廊下をきしませながら進むと、洗面所らしき水場やガスコンロ、積み重なった鍋や皿などが無造作に置かれている。土壁に畳敷き(6〜10畳)の寮生が暮らす部屋も雑然とした様子だ。手入れが行き届かない中庭では、鶏の親子が放し飼いにされていた。

 いろいろな生活臭が漂い混とんとしている一方、建物には至る所にレトロ感が残り、周囲の喧噪(けんそう)とは全く異なった「古き良き時代」を感じさせる空気が流れていた。

 吉田寮は相部屋が基本になっている。「ちょっと不便さもあるけれど、ここの良さは住んでみないと実感できない」。理学部4年の喜友名(きゆな)正樹さん(21)は語る。

 吉田寮の魅力の一つは、寮費400円を含め毎月2500円という生活費の安さ。現在、旧棟と平成27年築の新棟で構成され、計約240人が暮らす。

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