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» 2018年08月13日 06時36分 公開

YouTube大量削除問題……ネット上の表現規制、どう考える? 村井純氏・町村泰貴氏に聞く (1/3)

YouTube動画が大量に削除される騒ぎがあった。匿名掲示板での呼びかけをきっかけに、運営事業者が削除を行い、20万本以上の動画が閲覧できなくなったとみられる。多様な意見が飛び交うインターネット上の表現規制はどうあるべきか。村井純教授と町村泰貴教授に聞いた。

[産経新聞]
産経新聞

 今年5月以降、動画配信サイト「ユーチューブ」の動画が大量に削除される騒ぎがあった。匿名掲示板サイトでの呼びかけをきっかけに、運営事業者が削除を行い、20万本以上の動画が閲覧できなくなったとみられる。多様な意見が飛び交うインターネット上の表現規制はどうあるべきか。黎明(れいめい)期からインターネット網の整備に尽力した村井純・慶応大環境情報学部教授と、ネット利用上の法的問題に詳しい町村泰貴・成城大法学部教授に聞いた。(文化部 伊藤洋一)

画像 町村泰貴・成城大法学部教授(左)と村井純・慶応大教授(伊藤洋一撮影)

村井純・慶応大教授 

――一部の言論人の投稿動画が大量に削除される動きがあった

 「ユーチューブを含め、インターネット上には、自由に発言できるメディアが多数ある。話題になることを書けば、賛否両論が出る。これは従来のメディアや社会のコミュニケーションと同じこと。ただ、行き過ぎた内容、有害情報や違法情報は、運営事業者が個人の要望で止めることができる。例えば、児童ポルノの違法性は各国でほぼ共通。今回の場合は、国籍、民族などへの表現が、差別やヘイトスピーチと見なされたのかもしれない」

――編集者が目を通す出版物に比べ、ネットでは、極端な意見が散見される。運営事業者が編集者の役割を果たすのか

 「利用者から申し出があった場合や、犯罪の領域に入ると判断される事柄が削除の対象になっているはずだ。(2年前にヘイトスピーチ規制法が施行され)街頭で人種差別発言をするのが違法なのは、ネットでも同じ。事業者は難しい判断を迫られているだろうが、そのルールに照らし合わせて公平に処理しているはずだ」

――ネット上での表現は規制されるべきか

 「江戸時代、町に立て札や掲示板ができ瓦版が配られ、明治に入り、新聞が発行されるようになった。当初は人を傷つけるような表現があっただろうが、社会のなかで議論が起き、ルールが根づいた。ネット上も同じだ。差別的な発言をどう防ぐかが本質であり、それらの仕組みは、裁判など今の社会のなかにすでに解決策がある。運営事業者の削除が適法かどうかは、裁判で決めればよい」

――個人の発言が、強い影響力を持つことがある

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