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好きなキャラと話せる立体ディスプレイ、JDI「LF-MIC」のマジカルな未来(3/3 ページ)

» 2018年08月22日 13時45分 公開
[芹澤隆徳ITmedia]
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将来は立体映像付きのスマートスピーカー

 JDIは、キャラクターのIP(知的財産)を持つ企業と協力し、ライトフィールドディスプレイを事業化を検討している。将来的には5.5インチ液晶モデルに音声認識機能を搭載し、立体的なキャラクターとインタラクティブに会話できる「スマートスピーカーを意識したデバイス」を開発する方針だ。最終製品まで自社で製造するかは未定だが、キャラクター用のコンテンツ配信プラットフォームを構築し、各種アイテムや追加アクションのダウンロード販売など課金ビジネスに参入するとしている。

 試作機にスマートフォン向けゲーム「イケメン戦国」のキャラクターを提供したサイバード(東京都渋谷区)は、Amazon Echo向けにキャラクターと会話できるスキルを提供したり、伊達政宗の声優を務めた俳優の加藤和樹さんを「バーチャルYouTuber伊達政宗」として生配信デビューさせたりと、自社IPの活用に積極的だ。「出口側(コンテンツ制作サイド)の意見は貴重です。さまざまなアイデアをもらっています」(山本氏)

試作機はスマートスピーカーを意識して作られたため、上部にはスピーカー用の穴がある。今回は間に合わなかったが、サイバードからはキャラクターボイスのデータも提供されているようだ

 山本氏によると、発表会の後に多くのゲームメーカーやCGクリエイターから問い合わせがあったという。「ライトフィールドディスプレイを利用して『こういうものを作りたい』という意見を聞く機会が増えましたね」(山本氏)

Gateboxとの違い

 LF-MICという型番は、ライトフィールド(LF)と事業部名である「マーケティング・イノベーション&コミュニケーション」(MIC)の略だ。ところが開発の現場ではMICを「ミク」と読む。大方の予想通り、バーチャルシンガー・初音ミクにインスパイアされた呼び方で、同時に「製品が目指す姿」も表現しているという。

左からJDI R&D統轄部 フロントプレーン開発部 応用開発1課の瀧澤圭二課長、同じく林宗治研究主査、NHKメディアテクノロジー 放送技術本部 映像部 CG・VFXの大塚悌二朗副部長、JDI マーケティング・イノベーション&コミュニケーション戦略統括部 ソリューションプランニング推進部 ソリューション推進2課の山本尚弘課長

 好きなキャラクターを身近に感じられるライトフィールドディスプレイ、JDIはこれを「1年以内に商品化する」としている。しかし、同様のコンセプトを持つ製品として、“俺の嫁召還装置”こと「Gatebox」が存在する。最後に両者の違いについても聞いた。

 「Gateboxは超短焦点プロジェクターで半透明スクリーンにキャラクターを投映する仕組みと聞いています。映像ソースは3D CGであっても表示自体は2D。横から見てもキャラクターの側面は見えません」と山本氏。液晶パネルを使用するメリットとして、クリアな映像とコンパクトな筐体、将来的に低コスト化が期待できることも挙げた。

 一方、ライトフィールドディスプレイのネックは映像処理の重さだ。「GPUなどは日々進化しているため、1〜2年で状況は変わると思います。ただ、スマートスピーカーなど単体製品の前に、“PC用セカンドモニター”として販売することも検討しています。映像処理をPCに任せれば製品化の時期を早められるかもしれません」(山本氏)

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