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「口コミで戦うしかなかった」 「カメラを止めるな!」上田監督の“SNS戦術”(2/3 ページ)

» 2018年08月31日 08時00分 公開
[片渕陽平ITmedia]

 「宣伝もエンターテインメントだと思っている」と上田監督は力説する。カメラを止めるな!の公式Twitterアカウントでは、劇場公開60日前からキャスト総勢60人でカウントダウンのツイートを始めた

 「ただ、日付のボードを掲げるのではなくて、ゾンビのメイクをしたり、街中で見つけた数字を指さしたり、一人一人が“カウントダウン大喜利”をした。宣伝というよりは、見てくれる人が楽しめるように、それ自体がエンターテインメントとして成立することを意識した」(上田監督)

photo (c)ENBUゼミナール

 公開から70日を迎えるが、1日も欠かさず、キャストの誰かが舞台あいさつに立ち続けていることも、メジャー映画では考えられない宣伝方法だ。その際、観客には写真や動画の撮影を許可し、Twitterへの投稿を促している。

 「メジャー映画だと撮影を終えたら、初日や最終日の舞台あいさつ以外は、(配給会社の)宣伝部が担当するじゃないですか。(今回のような場合は)映画を届けるというところまで顔を突っ込みたい。どのように届けるかも、クリエイティブな要素だと思う」

 一方、上田監督は「(今回は)低予算、無名俳優、新人監督を生かした、1回限りの大技。次は次のやり方があると思う」と慎重だ。「メジャー映画の戦い方も挑戦したいし、フットワークが軽い低予算の映画にも取り組みたい」

photo (c)ENBUゼミナール

「全米が泣いた」から「友人が泣いた」に

 異例のヒットは、映画制作の在り方を考え直す機会にもなりそうだ。莫大な宣伝費を投入しなくても、内容が面白ければ売れる――SNSが普及し、そのような事例が作りやすくなったとの見方もある。

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