8月31日から9月5日までドイツの首都ベルリンで開催された世界最大級のエレクトロニクスショー「IFA 2018」。一般の人も多く来場する展示会場には、ここ数年インターネットに接続するスマート家電が増え続けてきた。それだけではなく、来場者の様子を見ていると欧州の人々のマインドあるいは生活にも着実に浸透しているようだ。スマート家電は未来のコンセプトではなく、いつでも使える選択肢になったと実感する。
例えば欧州でも人気の高い韓国Samsung Electronics(以下、サムスン)とLG Electronics(LG)は、それぞれのブースに特設スペースを設け、自社が展開するスマート家電やIoTデバイスだけではなく、その使いこなし方を紹介していた。GoogleアシスタントやAmazon Alexaを搭載したスマートスピーカーに対応したスマート家電も確実に増えているが、中でも豊富なラインアップを揃えているのがサムスンとLGだ。サムスンは「Bixby」(ビグスビー)、LGは「ThinQ」(シンキュー)という、独自のAIプラットフォームを持ち、音声コマンドを入力するためのスマホやスマートスピーカーから対応するスマート家電、スマートテレビまで、自社製品だけでエコシステムを完結できる数少ないブランドでもある。
サムスンは2014年に買収した米SmartThingsのスマートホーム向けクラウドサービスとIoTデバイスのノウハウを欧州でも“武器”として使いこなせるようになってきた。スマートホームを紹介する特設スペースでは、SmartThingsの機器とBixbyを連携させるデモンストレーションに焦点を当てていた。
欧州の大手通信キャリアであるVodafoneと組み、サムスン・SmartThingsのIoTデバイスを一式揃えた「スマートホーム・スターターキット」の販売にも力を入れている。月額利用料金は9.99ユーロ(約1300円)から。VodafoneのIoTサービス向け回線契約をパッケージにした「V-Home」も商品化している。
LGはThinQに対応するスマート家電の種類を積極的に増やしている。欧州では音声コントロールに対応したり、保存しているワインのコンディションがスマホアプリでチェックできたりする「スマートワインセラー」も発売予定。さらに2年ほど前からIFAやCESで展示していたThinQ対応のアシスタントロボット「QLOi」(クロイ)がいよいよ秋から韓国で発売されることが決まったという。
スマート家電は、同じホームネットワークにあるスマホやスマートスピーカーから「1対1」の関係で操作するだけのものではなくなった。複数の家電を連携して動かすショートカットを使いこなせるようになると、便利さが際立ってくるものだ。日本ではまだスマート家電そのものがあまりポピュラーではないために広く知られていないが、GoogleやAmazonのAIプラットフォームでも既に家電の連携操作の下地が整いつつある。
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