ITmedia NEWS > AI+ >
ITmedia AI+ AI活用のいまが分かる

「世の中が変わることが面白い」 84歳の田原総一朗氏がAIに興味を持つ理由これからのAIの話をしよう(メディア編)(2/5 ページ)

» 2018年11月27日 08時00分 公開
[松本健太郎ITmedia]

AIのキーマンはシリコンバレーに

―― 著書「AIで私の仕事はなくなりますか?」の中で、米Googleの人工知能部門「Google Brain」創始者の1人グレッグ・コラードさんや、ディープラーニングの第一人者である東京大学の松尾豊特任准教授の他、トヨタ自動車、三井住友銀行、パナソニックなどシリコンバレーに研究所や支店を置く日本企業のキーマンに話を聞いています。

 今までは、人間とロボットの違いは「自分で成長するかどうか」だった。つまり、ロボットそのものがモノを考えて進歩することは出来なかった。しかし、人工知能は人間と同じく成長する。ただ、どこまで成長するかが今は大きな問題になっている。

AI 画像はイメージ

 東大の松尾さんは「人工知能の世界で日本はアメリカの3周後れ」だと言っていて、何で遅れているんだと興味を持った。人工知能の担い手はGoogle、Apple、Facebook、Amazonといった、いわゆるGAFAでしょ。みんなアメリカの企業だ。

 それでトヨタやパナソニック、三井住友銀行にも取材をしたいと思った。それぞれシリコンバレーで活躍する中心的な人物が日本に来てくれて、答えてくれた。

―― 今回取材された多くの日本企業は、シリコンバレーに拠点を持っています。

 トヨタの社長に「取材したい」と言ったら、「自動運転に関するメインの研究所はシリコンバレーにある」と言われた。「何でシリコンバレーにあるのか」と聞いたら「日本には人工知能の研究者があまりいない。かといってスタンフォード大学、ハーバード大学、マサチューセッツ工科大学の優秀な人材は日本に来てくれない」と。各企業のキーマンに日本に来てもらい、取材した。

―― 人工知能への印象は変わりましたか。

 人間にできて人工知能にできないものとして、創造力や価値判断、疑問を持つこと、イシュー(課題)を持つことなどが挙げられる。しかし、本当に創造力を持たないのか。人工知能は音楽を作れるし、小説だって書けるでしょ。

―― AIは「読解力が苦手」とされており、「AI vs. 教科書が読めない子どもたち」(新井紀子著)という本も話題になりました。しかし、今年11月にはGoogleの自然言語処理のモデル「BERT」が特定の条件下で人間より高い精度を記録したと発表されました。2〜3年以内に読解力でも人間は人工知能に負けるかもしれませんね。

 僕もそう思う。読解力は経験だから、ロボットが経験を積んでしまえば良いわけでしょう。創造力も同じで、経験値を積み重ねていけば創造力を持ったロボットが大量に出てくるだろう。

人工知能は人間の仕事を奪うのか?

―― 著書のタイトルにもなっていますが、果たして人工知能は人間の仕事を奪うのでしょうか。取材を通してどう感じましたか。

 世の中の多くの人は仕事は与えられるものだと思っているが、僕は違うと思う。

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.