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» 2018年11月30日 14時57分 公開

ロボ材活用最前線――AIが変える働き方と経営:「ロボットの人間らしさ」を追求する (1/3)

ロボットに足りないものは「人間らしさ」。それを補うためにどのような試みがなされているのか。

[小林啓倫,ITmedia]

 人工知能、ロボットは職業にどのような影響を与えていくのか、どう使っていけばいいのか。これからの働き方を考える最新トレンドを追う連載の第4回は、ロボットに人間らしさをもたらす努力について。

ロボットと何で勝負するか?

 ロボットに仕事を奪われる時代がやってくる。だから人間にしかできないことを力にして、仕事を奪われない存在にならなければならない――いま、あちこちでこんな主張が繰り返されています。確かに仕事を失ってしまっては大変ですから、「私たちにしかできないこと」を考え、磨いていかなければなりません。しかしそれは具体的に、どんな力なのでしょうか。

 それは「人間らしさ」だという意見があります。泣いたり笑ったり、共感を示したりといった、情動こそが人間の得意分野だというわけです。確かにSF作品に登場するロボットといえば、抑揚のない機械音声でしゃべるというのがステレオタイプのひとつ。例えばSF映画史上最も有名なAIのひとつも、こんな風に描かれていました:

 映画『2001年宇宙の旅』に登場する、宇宙船を管理するAI「HAL 9000」。滑らかに会話することができますが、一本調子で不気味なものを感じさせます(それにはストーリーも深く関係していますが)。何か問題や悩み事がある場合には、こんな無機質なロボットよりも、親身になって話を聞いてくれる人間の方が相談相手としては良さそうです。ということは、顧客と直接対面し、人間らしく振舞う、営業やカウンセリングのような仕事は将来も安泰ということでしょうか。

photo HAL 9000の一部

 しかしSF作品には、人間と同じような情動をするようプログラムされたという設定のロボットも少なくありません。さらにそうしたロボットをパートナーとして、人間の相棒と同じような関係性を築いていくといったストーリーも多く、私たちはそれに感動を覚えます。それを考えると、たとえ本物の感情ではなくても、感情を持っている「ふりのできる」ロボットであれば、私たちは彼らが提供してくれる「人間らしさ」を違和感なく受け入れることでしょう。

 ひとつ面白い調査結果があります。アクセンチュアが世界26ヵ国・2万6000人の消費者を対象に行った「2017年 アクセンチュア デジタル消費者調査」というものなのですが、その中で「人間のアドバイザーではなくコンピュータベースのアプリケーションでやり取りするメリット」について質問されています。その結果が図1です。

photo 図1. 人間のアドバイザーではなくコンピュータベースのアプリケーションでやり取りするメリット(それぞれの設問で「強くそう思う」および「そう思う」を選んだ回答者の割合)

 「いつでも利用できる」という点に同意した人が最も多かったというのは当然でしょう。人間と違い疲れを知らないというのは、ロボットが持つ大きな利点のひとつです。いま流行りのチャットボットについても、「24時間365日いつでも顧客対応ができること」が、多くの企業における導入理由となっています。「対応が素早い」および「サービスの提供が速い」というのも、機械ならではの理由と言えるでしょう。

 一方で「偏見が少ない」「コミュニケーションが人間より丁寧」に同意した人が、6割を超えているというのは興味深い点です。コミュニケーションを機械的に提供できるというだけでなく、コミュニケーションの質に関しても、コンピュータの方に軍配を上げる人が多数派になりつつあるというわけです。また同じ調査では、消費者の62%が、「自分の問い合わせにAIアプリケーションが回答しても抵抗はない」と回答しています。どうやら顧客と直接対面することが求められる仕事においても、人間の地位は安泰とはいえないようです。

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