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倒れた人を見つける家、積水ハウスのスマートホーム構想CES 2019(2/2 ページ)

» 2019年01月12日 07時00分 公開
[山本敦ITmedia]
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ウェアラブルデバイスなどは必要なし

 プラットフォームハウスに暮らす人が、朝ベッドから起き上がろうとしたところ、急に倒れて意識を失ってしまう。別の部屋にいる家族がそれに気がつかずにいても、倒れてから一定時間が経つと住まいが異変を検知し、家族と登録されている病院などの緊急通報先に通知して病の早期発見と救命をサポートする。プレゼンテーションの内容をまとめるとこのようになるのだが、ここで注目したいのが登場人物はウェアラブルデバイスなどを一切身に着けていないという点。吉田氏に仕組み聞いてみた。

住む人の平常時の生活データを計測・蓄積。異常が発生した際の状態と比べて病を検知する

 「具体的なことはまだ言えませんが、様々なセンシング技術を活用する考えです。プラットフォームハウスに暮らす方々のプライバシーを保護しながら、負担に感じるようなデバイスを身に着ける必要がなく、緊急疾患対応のサポートが受けられるよう、電波や赤外線による見守り技術を組み込むことを考えています。このような住まいのIoT技術を実現するために慶應義塾大学 理工学部の大槻知明教授による研究成果と知見を頂戴しています」(吉田氏)

 積水ハウスはプラットフォームハウスのロードマップを明らかにしている。1月中に国内にオープンする「プラットフォームハウス ラボ」で実証実験を始め、春以降には複数の大学病院と連携して臨床研究を始める。夏には「実際の家」を使ってさらに研究を進める。サービスとしての提供は、約1年後の2020年春ごろを見込んでいるという。

プラットフォームハウスの構想全体はヘルスケア以外にもヘルスサポート、エネルギーマネジメントにも広がる

 当初プラットフォームハウスは積水ハウスの新築戸建て住宅にインストールした形で販売する予定だ。初年度の販売目標は月間100棟、将来的には全棟への導入を掲げる。販売地域は国内としているが、具体的なエリアや商品として提供する際の価格については発表していない。ただ吉田氏は「プラットフォームハウスを身近なものに感じてもらい、選んでいただくことが大事と考えています。そのため、初期設備投資のコストは数十万円、月間のランニングコストも数千円程度に抑えたいと考えています」と話していた。

様々な分野のパートナーと手を組み、アライアンスを広げながらオープンイノベーションを実現する

 同社のオープンイノベーションに参加を希望するパートナーについては「いつでも歓迎したい」と吉田氏。スマートホームの中には最先端のテクノロジーやデバイスありきで企画されたものも少なくないが、積水ハウスのように明確な目的を持って技術を活用する試みは賛同者も集めやすいのではないだろうか。

【訂正:2019年1月15日11時30分更新 ※販売目標の数字を修正しました】

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