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行政にもRPA導入の波 「あらゆる業務が対象になり得る」──神奈川県の実証事業で見えてきたもの(1/3 ページ)

» 2019年03月07日 07時00分 公開
[山崎潤一郎ITmedia]

 人間の業務をコンピュータに代行させる「RPA」(Robotic Process Automation)の導入で先行する民間企業に続けと言わんばかりに、国や地方自治体でもRPAの利活用に対する機運が高まっている。

 総務省は「地方自治体における業務プロセス・システムの標準化及びAI・ロボティクスの活用に関する研究会」を立ち上げ、AI(人工知能)やRPAを使いこなす「スマート自治体」への生まれ変わりを奨励しているようだ。

 そんな中、神奈川県庁は2018年9月から12月にかけて、RPA導入の実証事業を行った。今回は自治体業務におけるRPAの在り方について、導入効果と浮きぼりになった課題を同県の担当者に聞いた。

photo 「キングの塔」の愛称で親しまれている神奈川県庁本庁舎。県内で最初の国登録有形文化財。正面玄関のアール・デコ風の装飾が印象深い

RPA導入の背景と、自動化に適した業務とは?

 神奈川県では、超高齢化社会や人口減少といった社会の変化に対応するため、人員削減や公共施設の統廃合など、「量的削減」を行ってきた。報告書には「かなりのレベルまでスリム化を進めた」とある一方で、行政サービス品質の維持、もしくは向上をおろそかにするわけにはいかない。

 さらに、安倍政権が掲げる「働き方改革」を推進し、職員のワークライフバランスにも取り組まなければならない。そのような状況だけに、他の自治体での導入事例も登場しつつあるRPAに神奈川県が着目するのは自然な流れだった。

photo 左から、政策局ICT推進部情報企画課ICT戦略グループ主査の井上肇さん、総務局ICT推進部情報企画課の足立早苗課長、総務局ICT推進部情報企画課プロジェクトマネジメントグループ主事の矢部弦也さん

 神奈川県庁が行ったRPAの実証事業では、「通勤手当の認定」「災害時の職員の配備計画の作成」の業務をRPAの検証対象とした。これまでは職員から提出された情報の内容確認や名簿の作成など、1件ごとに人手をかけて実施していたという。PC上での単純作業であり、件数も多いことからRPAとの親和性が高いとの判断だ。

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