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錠剤サイズの「飲む体温計」、動物実験に成功 レモンと同じ原理で胃酸発電

» 2019年03月13日 15時15分 公開
[山口恵祐ITmedia]

 東北大学は3月13日、口から飲み込める錠剤サイズの体温計を開発し、犬を使った実証実験に成功したと発表した。胃の通過時に胃酸で発電し、30分に1回のペースで腸内温度を計測。24時間以内に体外へ排出される。より正確な体内温度を把握することで、病気の早期発見や健康促進が期待できるという。

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 同大が開発した「飲む体温計」の大きさは、直径約9ミリ、厚さ約7ミリ。中に温度センサー、マイコン、集積回路、通信回路、積層セラミックコンデンサーが内蔵され、電極以外は樹脂で覆われている。電極に胃酸が触れると、レモン電池と同様の原理で発電し、コンデンサーを充電。たまった電力で、30分に1回程度の計測とデータの送信ができる。

 温度計は便とともにトイレで排出。下水処理場の沈殿工程で回収、破棄されることを想定する。実験では、犬に飲む温度計を服用させた。市販のループアンテナを犬の体に近づけてデータを受信することに成功し、翌日に体外へ排出されたという。

 いずれは安価な部品や実装技術によって、部品の原価を100円以下に抑えることを目指す。研究は東北大学イノベーション戦略推進センターの中村力特任教授、マイクロシステム融合研究開発センターの宮口裕助手、工学研究科の吉田慎哉特任准教授らの研究グループによるもの。

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