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「現場主導のRPAはスケールしない」 大企業が抱える悩み、突破口は専門組織(1/2 ページ)

» 2019年03月19日 18時12分 公開
[村上万純ITmedia]
アビーム RPA(ロボティック・プロセス・オートメーション)に詳しいアビームコンサルティングの安部慶喜さん(戦略ビジネスユニット 執行役員プリンシパル)

 「大企業から来る相談はどこも同じようなもの」――RPA(ロボティック・プロセス・オートメーション)に詳しいアビームコンサルティングの安部慶喜さん(戦略ビジネスユニット 執行役員プリンシパル)は、こう話す。

 安部さんは「(トライアルも含めて)大企業の9割以上はRPAを導入しているが、そのうち8割近くは大した成果が出ておらず、スケールしないことに悩んでいる」と指摘。導入コストに見合う成果を得られている企業には共通点があるという。

 特に安部さんが強調するのが、RPAプロジェクトを推進する専門チームの必要性だ。RPAを部門横断でスケールさせ、それなりの成果を出すには「現場主導ではうまくいかない」と語気を強める。

 現場主導のRPAは、担当者レベルで改善したい範囲を決め、時間をかけて少しずつ進めるやり方のため、スケールさせるのに時間がかかる。これに対し、専門チームを作って全社プロジェクトとして進める「直下型RPA」は、大きな改革効果を狙えるという。

 安部さんは3月14日に開催された報道陣向け勉強会で、直下型RPAを勧める3つの理由を解説した。

アビーム RPA本格展開における課題と対応策

理由1:改革の領域が広がる

 直下型では、プロジェクトの責任者に経営者を据え、プロジェクトリーダーは全社を動かし改革をリードできる役員クラス、各部門では部長が権限を持って成果にコミットできるような体制が理想という。

アビーム 現場型RPAと直下型RPA

 大きな成果を出すためには、全社的な取り組みが不可欠。ときには社内の制度や内部統制ルールなどに手を入れる必要が出てくるため、経営層からのトップダウンの方がスムーズにいくのは想像に難くない。安部さんは「社内の制度やルールは部門内に閉じた現場型RPAではなかなか変えられない」と説明する。

理由2:効果の大きい業務から取り掛かれる

 現場型と直下型で大きく異なるのが、自動化する業務選定の基準だ。安部さんは「現場型では担当者の心理的負荷が高い業務が対象になってしまう」と嘆く。

 「大企業で現場にRPA化したい業務を聞くと1000個くらいはすぐに挙がるが、全て小粒な業務。それではスケールしにくい」(安部さん)

 投資対効果が大きい業務から取り組むには、業務を全て棚卸しして、現状の業務時間を洗い出す必要がある。業務時間という客観的な数値を基に優先度を決め、専門チームのような第三者的機関が業務を選定することが求められる。

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