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今、あらためてPS5の姿を想像してみる CPUとGPUはどうなる編(1/5 ページ)

» 2020年01月31日 17時37分 公開
[西川善司ITmedia]

 次世代ゲーム機が登場する年はゲームファンが色めき立つ。毎年新モデルが出る人気スマートフォンとは違い、ゲーム機の場合は数年に一度しか出ないので、お祭り騒ぎになるのも無理はない。ゲームファンにとっては次世代ゲーム機の登場イヤーはオリンピックやワールドカップのような世界的なスポーツイベントに優るとも劣らぬ熱量でその登場が待ち望まれる。

 そう。今年は、東京オリンピックイヤーであると同時に、ソニーの次世代ゲーム機「プレイステーション 5」(PS5)と、Microsoftの次世代「Xbox Series X」の登場が予定されている次世代ゲーム機イヤーでもあるのだ。

 今回の次世代ゲーム機登場に関するメーカーのプロモーションの仕方は、これまでのゲーム機の登場の歴史とちょっと異なっている。

 これまでの次世代ゲーム機は、徹底した秘密主義でそのハードウェア的な特徴は、発売直前になるまで明かされることはなかった。ところが、今回の次世代ゲーム機戦争においては、ソニーもMicrosoftも、次世代ゲーム機をその発売の一年以上前から「こんな感じになる予定」という予告を定期的に行ってきているのだ。これはかなり興味深い。

 これは良くも悪くも、ゲーム機がハードウェア的な特徴だけで優位性を語るのが難しくなってきたことと無関係ではないのだろう。

 現行ゲーム機のPS4とXbox Oneは、共に兄弟のような米AMDが開発したPC向けプロセッサ(APU:Accelerated Processing Unit)のカスタム品を搭載しているし、任天堂のゲーム機「Nintendo Switch」は米NVIDIAが開発したハイエンドタブレット向けプロセッサ(SoC:System-on-a-Chip)のカスタム品を搭載している。カスタム品とはいえ、基本はAMDやNVIDIAの既存プロセッサのバリエーション的なものである。

 ハードウェア視点では、もはやゲーム機は、現在のPCやスマートフォン/タブレットといったIT製品とそう変わりない。いうなればゲーム機も、その時代の最新技術を適用した新プロセッサを搭載することで性能は向上するが「得体の知れない黒魔術」的なトンデモ技術が搭載される可能性は限りなく低く、翻ってその時代の技術ラインアップメニューから「何を取捨選択しましょうか」という感じの「アラカルトメニュー」に仕上がることになる。

photo PS3で採用されたCell Broadband Engine(通称CELLプロセッサ)は、ゲーム機に採用された最後の「得体の知れない黒魔術的なトンデモ技術」だった。CELLプロセッサはソニー、ソニー・インタラクティブエンタテインメント、東芝、米IBMの4社協同で開発され、家電からスーパーコンピュータにまで幅広く採用される予定だったが、成功を収めることはできたのはPS3のみだった。2010年頃にCELLプロジェクトは静かに終焉(しゅうえん)を迎えることになった

 興味はそのアラカルトメニューが、どんな技術構成になるかだが、最近はそのヒントを比較的早くからファンに与え、継続的に興味を持ってもらえるように各社が工夫しているわけだ。逆に言えば、ハードウェア的な特徴以外に、各メーカーの「隠し球」があるということなのかもしれないが。

 前置きが長くなったが、編集部から「現在までに分かっているPS5の予告情報を整理して欲しい」という依頼をいただいたので、さっそく本題に移ることにしよう。

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