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ラズパイでハイレゾオーディオや「Spotify」を楽しむ名刺サイズの超小型PC「ラズパイ」で遊ぶ(第18回)(1/3 ページ)

» 2020年04月03日 07時00分 公開
[岩泉茂ITmedia]

 今回は第17回で作り上げた「Volumio」を使って、専用のハイレゾDACをラズパイに搭載する方法などを解説していきます。

 ラズパイはオーディオファンからも注目されており、専用のDAC(Digital to Analog Converter/DAコンバーター)が各種販売されています。DACはその名前の通り、デジタル信号をアナログに変換して出力するものです。ALAC(Apple Lossless Audio Codec)やMP3といった、デジタルで記録されている音源の再生に必要です。

 DACはPCやラズパイにはもともと備わっている機能です。このためVolumioなどを使って音楽を聴けるわけですが、最近、PC向けのDACというと、「ハイレゾリューションオーディオ」を再生できるUSB DACを指すことが多くなっています。ハイレゾリューションオーディオは「ハイレゾ」と略して使うのが普通になってきましたので、こちらの方がなじみがありますね。

 ハイレゾ対応のUSB DACはPCのUSBポートに接続して使うもので、RCA端子を通じてアンプに出力して使う他、ヘッドフォンアンプの機能を持っていて単体でも音楽を楽しめるものもあります。ハイレゾ対応のUSB DACを使うとALACやMP3の音楽を聴けるだけでなく、「FLAC」や「DSD」という形式で記録されたハイレゾ音楽ファイルが再生できます。ハイレゾ音源はダウンロード販売が主流で、「e-onkyo music」や「mora」などが有名です。

CD-DAよりも情報量が多いハイレゾ音源

 ハイレゾ音源は、CDが採用している“44.1kHz、16ビット”よりも広いサンプリング周波数と量子化ビット数で記録されています。サンプリング周波数と量子化ビット数は、アナログ音源をどの程度のクオリティーでデジタル化するか、という値なので、数値が高いほど情報量は多い、と考えてよいです。ハイレゾ音源で使われている「FLAC」という記録フォーマットでは“96kHz、48ビット”以上、「DSD」で記録されているファイルは“2.8224MHz、1ビット”以上のサンプリング周波数と量子化ビット数となっています。

 こうしたハイレゾ音源を聴くためにPCではUSB DACを使うわけですが、ラズパイ用のDACもいろいろな種類が販売されています。価格も1000円台から数万円するものなどさまざまです。高い製品を購入すれば安心なのかもしれないけど、安い製品も気になりますよね。

 というわけでどこかで折り合いを付ける必要がありますが、筆者の場合はオーディオ専門店であるコイズミ無線が販売している「JustBoom ラズパイ用DAC DAC HAT」を購入しました。価格も6000円弱と、手が届く範囲です。

 JustBoomのほか、コイズミ無線で取り扱っているHifiBerry、AlloのDACは、後ほど述べるVolumioの設定メニューにも登場しますし、扱いが簡単です。JustBoom ラズパイ用DAC DAC HATはRaspberry Pi 3B+用に購入したものですが、Raspberry Pi Zero用の小型DACもあります。

photo 筆者が利用している「JustBoom ラズパイ用DAC DAC HAT」
photo ラズパイゼロ用の小型DACもある。写真は「Allo ラズパイゼロ専用DAC MiniBoss for RPI Zero」

 ちなみに、ラズパイの上に乗せて利用する拡張ボードを「HAT(Hardware Attached on Top)」と呼びます。HATの仕様はラズベリーパイ財団が決めており、ネットで公開されているので、その仕様にのっとれば誰でも作ることができます。逆に言うと、この仕様に準拠していないものはHATと名乗れません。

 ラズパイ用のDAC HATですが、RCA端子が付いており、これをアンプにつなげて再生します。CDプレーヤーなどをつなぐのと同じです。なお、すでにUSB DACを持っている場合は、DDコンバーター(Digital to Digital Converter)を導入して、同軸か光端子をDACの入力端子とつなぐことで使えます。

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