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望遠レンズの圧縮効果と広角レンズの遠近感、伝えたいことが伝わる使い方荻窪圭のデジカメレビュープラス(1/3 ページ)

» 2021年02月07日 07時00分 公開
[荻窪圭ITmedia]

 1カ月ほど前、望遠レンズで人混みを撮るのは望遠の“圧縮効果”による演出だ、ってんでちょっと燃えたのが記憶に新しい。まあ、人混みや人の流れを撮る時は、ちょっと高い位置から望遠、広角の時は低い位置からってのはセオリーになってるのだけど、どのメディアも同じようなレンズで同じようなアングルでっていう「型通り」の見せ方を見直す機会としてはいいかもしれない。

 先日、たまたま撮ったこの写真。まあ、人が多いなあと思ってカメラを向けたのだけど、Facebookに上げたら「望遠で撮りましたね」と言われた。

ソニー「α7C」に58mmF2.0のオールドレンズ(Biotar 58mm)を付けてたまたま撮った駅改札からの階段とエスカレーター

 いや使ったレンズは58mmなので、標準レンズ(50mm)よりはほんのちょっと望遠側ではあるものの、望遠レンズというほどではない。でも「望遠で撮った」と思われちゃうのが今日この頃である。

 これが望遠に見えたのは多分、背景が階段&エスカレーターになっていたからかと思う。奥の人まで全部見えるからね。

望遠の圧縮効果と広角の遠近感

 で、初心者向けに広角と望遠の話。

 広角は広い範囲を撮るレンズ、望遠は遠くのものを撮るレンズと思いがちだけど、急にいろんなところで使われるようになった「圧縮効果」という言葉に代表されるように、一番大きな違いは写りの特性。

 レンズは広角になればなるほど画角が広く(写る角度が広くなる)、遠近感が極端に出る(近くのものは大きく、遠くのものは小さく写る)、ピントの合う範囲が広くなる(近くにも遠くにもピントが合う。逆に大きなボケを狙いづらくなる)という特徴がある。

 逆に望遠になればなるほど、画角が狭く(撮れるのが狭い範囲になるので結果として大きく写ることになる)、遠近感がどんどん乏しくなり(これを圧縮効果と呼んでいる)、ピントの合う範囲が狭くなる(前後をぼかしやすくなる。逆に近くにも遠くにもピントを合わせたい時難しい)という特徴がある。

 それを人混みでテストするのもアレなので、雪を撮ってみた。東京に雪が降った日だ。

 広角だと「え、どこに雪?」である。35mm判換算判換算で24mm相当だ。

オリンパス E-M1 Mark IIの12-100mmを使い、12mm側で撮影。単に天気が悪い日の写真だ(もやっとして見えるのは雪が舞ってるからなのだけど)

 これを200mm相当の望遠で撮ると、めちゃ雪が降ってるように見える。

オリンパス E-M1 Mark IIの12-100mmを使い、100mm側で撮影。無数の雪が降ってるのが分かる。大雪っぽい

 この2枚。撮影した場所や時刻は同じ。

 雪がたくさん降ってるように見せるには、望遠で、背景が「暗い」ところを狙う(雪が白いのでその方が目立つ)のがポイントだ。東京に雪が降った日のニュースの画像を見るとそれを意識して撮ったカットが使われてると思う。

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