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カーボン削り出しのトースター「Sumi Toaster」がなぜ最新のオーブントースターに勝てるのか 開発陣に聞いてきた分かりにくいけれど面白いモノたち(1/5 ページ)

» 2021年05月20日 12時35分 公開
[納富廉邦ITmedia]

 いつの間にか日本人はパンが大好きになっていて、そこら中でおいしい食パンが買えるし、トーストが美味しく焼けるオーブントースターも次々に登場しています。子どもの頃は一日二食、今でも一日一食は必ずパンを食べる私にとっては、とても嬉しい時代になりました。

 こんな時代になるとは夢にも思わなかった2007年の秋。私はPdwebというサイトで、オーブントースターの使い比べ、食べ比べの連載をしていたのですが、海外のトースターと国産のトースターでは焼け方が違うということに気が付いたりしていました。

 どちらかというと、カリッとサックリと焼ける海外製のトースターと、ふんわりもっちり焼ける国産のトースターという印象で、どちらが美味しいというのではなく、美味しいトーストとはどういうものか、ということについての考え方の違いが面白いと思ったのです。

 あれから14年経って、パンもトースターも選択肢が増えたのがとても嬉しく、つい、いろんな焼き方でトーストを楽しんでしまいます。その中で、食パンとバゲットに限っていえば、あやせものづくり研究会の「Sumi Toaster」を使って焼いたものが一番好きだと気が付きました。

 餅は好きだけど、もっちり食感はあまり好きではない私にとって、海外製のトースターに近い、サックリとした軽い歯ごたえがたまらないのです。

 それでいて、中はふんわりと柔らかく、しかも熱々。見た目は、ただの真っ黒な角皿のようなもので、それをコンロに乗せてパンを焼くだけの、この道具が何故1万1000円もするのかは、食べてみれば納得できるのですが、では、どうして、そんなに美味しく焼けるのか。

 メーカーである旭工業の代表である嶋知之氏、プロデュースをしたアッシュコンセプト代表の名児耶秀美氏、デザイナーの八幡純二氏への取材と、私がさまざまな実験を行って分かったことを、ここに書いておこうと思います。

photo あやせものづくり研究会「Sumi Toaster」1万1000円。W180×D150×H23mm、約430g。この黒いプレートが、最新のオーブントースターに勝るとも劣らないトーストを焼いてくれる
photo 見た目も地味だが、パッケージもとてもシンプル。しかし、しっかりと内容を伝えるデザインになっているので、ギフトにも使える
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