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18台のセンサーカメラで商品と客をひも付け 羽田空港初の“無人決済みやげ店”に行ってみた

» 2021年08月27日 08時00分 公開
[雪城あさぎITmedia]

 全日本空輸(ANA)グループで空港内の売店を展開するANA FESTAと、無人決済店舗システムを手掛けるTOUCH TO GO(東京都港区、以下TTG)は8月27日、客が手に取った商品を自動認識して無人決済できるみやげ物店「ANA FESTA GO」を羽田空港の第2ターミナル地下1階にオープンした。

 店内の天井に設置した18台のセンサーカメラが、客と手に取った商品を認識してひも付ける。客は商品を手に取って決済端末に近づくだけで、即座に表示される代金を精算できる仕組みだ。事前に行われた説明会で筆者が体験してみた。

photo 無人決済できるみやげ物店「ANA FESTA GO」の店舗外観

センサーカメラで人と商品を認識、買わなくても入店OK

 店舗面積は決済端末が置かれたブースを含めて約41.95平方m。客の入退店は自動ゲートで管理する。商品を買わない場合は、端末から退店操作を行えばゲートが開いて出られる。

 筆者は持参したマイバッグに商品を入れながら店内を歩き回った。その後、決済端末の前に向かったところ、問題なく全ての商品が認識された。商品のバーコードを1つずつ読み込ませるといったセルフレジ特有の煩雑さとは無縁だ。

photo 天井には等間隔にセンサーカメラを設置
photo 商品は手に取った時点で客と商品の情報をひも付ける
photo マイバッグの中に商品を入れて決済端末の前に立つと、中の商品が全て表示された。端末の台には決済方法に応じたガイドが細かく図で示されている

 センサーカメラが認識した商品と、客が実際に持ってきた商品に違いがあったり、商品を認識しなかったりした場合は、客が端末から手動で修正する必要がある。

 無料の紙袋が決済端末の下に置かれており、購入した商品の袋詰めも客が行う。なるべく人や商品との接触を避け、素早く会計したい場合に適しているだろう。

「現金払い」にも対応

 一般的なみやげ店に比べ、商品のラインアップは限られている。ANA FESTAが羽田空港で展開する全店舗の売上と販売数のデータを基に、棚の上から順に「800円以下」「800〜1500円」「1500円以上」の価格帯と、入り口から順に「限定販売」「洋菓子/和菓子のランキング」「ANAグループ製品」「お弁当」「コカ・コーラ社製ドリンク」という並びで陳列している。商品の品ぞろえはシステムメンテナンスなどの兼ね合いもあり、3カ月ごとに見直すという。

 いろいろな商品に目移りしにくいためか、事前に買う商品を決めていなかったとしても、商品を選んで手に取り、決済して店を出るまで数分で終えられる。低価格な商品を目にとまりやすい位置の棚に置くことで、出発時刻が近づいている客でも気軽に購入しやすい環境が整えられている印象だ。

photo 1つの棚に置かれている商品の種類は10種前後

 支払いは「Suica」などの交通系ICカードやクレジットカードの他、現金にも対応。QRコード決済にも今後対応予定だ。同様の無人決済店舗ではキャッシュレスオンリーである場合も多いが、同系列の売店で現金を使う客が多いことから、現金も決済手段に加えたという。

photo 棚から手に取った商品が認識されているところ

 ANA FESTAは無人決済店舗の展開について、客の反応を見ながらターミナルの中心部や出発ゲート内への出店も検討している。具体的なスケジュールは未定だが、省人化の観点から地方など羽田空港以外への展開も考えている。

 無人決済店舗システムを手掛けるTTGは、これまで目白駅(2020年10月)、高輪ゲートウェイ駅(2020年3月)などでも同システムを展開してきた。今後も技術的な部分を進化させながら、無人決済店舗の導入を検討するパートナーへの販路拡大を目指す。

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