スマートフォン向けSoCで知られるQualcommが日本時間の9月2日、Bluetoothでロスレスオーディオを提供する「aptX Lossless」を発表した。ロスレスのストリーミングと聞いて、多くの人が真っ先に思い浮かぶのは、Apple Musicだろう。
AppleのサービスとAndroidが主戦場のaptXでは、かみ合わせが悪いように思われるかもしれないが、そもそもロスレスのストリーミングはすでにAmazon Music HD、Deezer、OTOTOY、TIDAL、mora qualitasといったサービスでスタートしており、Apple MusicもAndroidアプリでロスレス及び空間オーディオ再生が可能になっている。
Bluetoothでロスレス伝送できる技術というのは、aptX Losslessが最初となる。ハイレゾ伝送ではLDACに後れを取っていたaptXだが、ロスレス伝送で逆転を狙うということだろう。
しかしiPhoneにaptXが搭載される可能性は低く、Appleが独自にロスレスコーデックを搭載しない限り、ロスレスの世界は当面Androidだけのメリットとなる可能性もある。
2021年にApple Musicが対応したことで、ロスレスはようやく「始まった」感があるわけだが、iPhoneユーザーがその恩恵を受けられるメドが立たないのは、何とも残念な話である。
aptX Losslessの44.1kHz/16bitというスペックは、CD音源そのものであり、ソースとなる楽曲数はハイレゾよりも多い。これまで「いい音」とはCDスペック以上を指していたが、「CDスペックをロスレス伝送」ということもまた「いい音」として、価値があると見なされていくことになる。これまでの「いい音」の定義が変わる、ということである。
そうした中、そのQualcommが「2021 State of Sound」という調査リポートを公開した。
世界的パンデミックの中でオーディオ需要がどのような傾向にあるのかを調査したもので、ある意味Qualcommの今後のシナリオの裏付けとなるデータである。今回はその中身を見ながら、今後のワイヤレスオーディオの姿を探っていこう。
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