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ドワンゴ、「ゆっくり茶番劇」商標権の放棄交渉へ 応じなければ無効審判請求

» 2022年05月23日 17時40分 公開
[松浦立樹ITmedia]

 ドワンゴは5月23日、「ゆっくり茶番劇」が第三者に文字商標として登録された件について、商標権を放棄するよう交渉すると発表した。応じなかった場合は、無効審判請求をするとしている。

ドワンゴ専務取締役の栗田穣崇COO(左)と同社法務部小川和晃部長(右)

 動画投稿者の柚葉さんが15日に「『ゆっくり茶番劇』の商標権を取得した」と公表したことを機にネット上では大きな騒ぎに。ドワンゴは20日、柚葉さんと商標権者が同一人物であるか確認が取れていないとしながらも「ゆっくり茶番劇」は特定の企業や個人が独占することは不適切な表示であると見解を示していた。

 同社は23日、改めて今後の対応について記者会見を開き、専務取締役の栗田穣崇COOは「(ゆっくり茶番劇という)コミュニティーが築き上げてきた名称が商標登録されることで、クリエイターが安心して動画を作る環境は害されている。この現状を大変残念に思っている」と話した。

「ゆっくり茶番劇」商標に対するドワンゴの見解

 ニコニコでゆっくり茶番劇という言葉を含む動画が初めて投稿されたのは2011年。以降も様々なクリエイターが動画を投稿し、中には200万回再生されている動画もある。「特定企業や個人の出生を指し示す単語ではない」(栗田COO)と考えを示した。

 ドワンゴは同商標を使って動画を投稿し、使用料を請求されてしまった人を対象にする無償の相談窓口の設置する。23日時点で、同商標権は権利放棄されていないため、今後、商標使用料を求められる可能性があるという。請求内容に基づき、警察や法律事務所など適切な窓口の紹介するとしている。

 また、「ゆっくり」系動画のジャンル・カテゴリーを示す表示として広く使われている複数の文字列を対象に、商標登録を出願するとも発表。

 栗田COOは「ドワンゴが権利行使をするために出願するわけではない。もし、ネット動画のジャンル・カテゴリーを表す表示として一般的に使用されていることを理由に特許庁が商標登録を拒絶すれば、誰も商標登録できないことが明らかになる」と説明。ゆっくり関連の商標権を取得できた場合も、一切権利行使しないと宣言した。

 「以上の取り組みは、ネットクリエイターを守るためのものであり、東方Project原作者であるZUNさんにもご承知いただいている」(栗田COO)

ドワンゴが行う4つの対応

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