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BroadcomがVMwareを買収した理由 実は双方にメリットあり(1/4 ページ)

» 2022年05月30日 08時23分 公開
[大原雄介ITmedia]

 いつものごとく担当の松尾さんから「BroadcomによるVMware買収が決まったわけですが、Intelとかパット・ゲルシンガーとかとの三角関係的なところとか、なぜ半導体メーカーがソフトウェア企業を買収するのかといったところの解説記事、もし可能であればお願いしたいと思うのですが、いかがでしょう?」というメッセージが飛んできた。いや流石に三角関係はないとおもうんですが。ということで、簡単に背景を。

photo BroadcomによるVMwareを伝えるVMware公式Twitterアカウント

 まず事実関係について。こちらにまとめられているように、BroadcomはVMwareを610億ドルで買収する。この際同社の抱えていた負債80億ドルも引き受けるので、合計では690億ドル。5月26日の為替レート(1ドル127.48円)で換算すると8兆7960億円もの莫大な金額になる。

 普通に考えると超大型買収ということになるが、2018年のQualcomm買収の騒ぎの時には総額1300億ドルを提示していたことを考えると、Broadcomの視点からすればさして高額という訳でもないのかもしれない。

 もともと旧Broadcom(Broadcom Corporation)にしても、そのBroadcomを買収してBroadcom Inc.に改称した旧Avago Technologiesにしても、企業あるいは部門を買収して大型化してきた企業である。まずは両社のプロフィールをご紹介したい。

 旧Broadcomは1995年にヘンリー・サミュエリとヘンリー・ニコラス3世という2人のヘンリー博士によって創業され、1998年には早くもIPOを果たしている。

photo Broadcom共同創業者のヘンリー・サミュエリ博士
photo Broadcom共同創業者のヘンリー・ニコラス3世博士

 2人ともUCLAの卒業生で、どちらも博士号をデジタル信号処理に関する論文で取得している。こうした理由でBroadcomもデジタル信号処理を得意とした会社として立ち上げられた。

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