News:ニュース速報 2000年12月8日 08:43 更新

21世紀は科学がテレパシーを実現する!?──科学技術庁

 「脳の活動状態を信号に変換・伝送する技術により,人と装置,人と人との伝送波による直接通信が可能になる」──科学技術庁科学技術政策研究所はこのほど,21世紀の科学技術の展望について専門家の意見をまとめ,公開した。

 公開されたのは「21世紀の科学技術の展望とそのあり方」。各分野の専門家に対しアンケート調査を行い,次世紀の科学技術がどのように進展するかについて予測してもらった。まとめに当たっては,「こうなってほしい(ほしくない)」といった視点を避け,「こういうことが起こりうる」という視点に立ったとしている。分野は遺伝子技術や食糧問題,交通まで多岐にわたっている。

 コミュニケーション分野では,脳の活動を信号化して直接やり取りする“科学的精神感応”が実現するという。コンピューターへの入力も脳から直接行い,さらにTV放送も脳で直接受信する。応用で動物とのコミュニケーションも可能になる。

 さらに空間に立体映像を映す技術が開発され,現在の形態のディスプレイは不要になる。もちろん,立体TVはにおいや質感までも再現し,臨場感あふれるコンテンツが可能になるという。

 また自動翻訳技術が普及し,世界人口の8割が母語で会話が可能になり,「経済や文化の交流が極めて豊かになる」とした。ただし情報やモノが世界の隅々まで流通することで言語も統一に向かい,国家概念すらなくなるという予測もあった。

 政治分野では「コンピューターによる最大多数の最大幸福の総合計算を信頼する社会合意がなされ,政府の政策・予算案などで適用されるようになる」というSFの設定でおなじみの“計算機的ベンサム主義”も予測された。

 なおこの中では,タイムマシンや瞬間移動,反重力装置といった「現在の科学の延長上では実現する可能性がないと考えられるもの」(科学技術庁)は含まれていない。

関連リンク
▼ 科学技術庁「21世紀の科学技術の展望とそのあり方」

[ITmedia]

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