News:ニュース速報 2001年6月22日 09:26 更新

電解水で洗剤いらず,次世代バケツまで──洗濯機が熱い

 ここにきて洗濯機の新製品が熱い。三洋電機は洗剤なしでも洗濯できる新技術を搭載した製品を発表,松下電器産業はちょっとした洗濯に使える“電気バケツ”を商品化した。

 三洋電機が6月22日に発表した製品は「超音波と電解水で洗おう」と愛称も明解。同社は超音波を使って洗剤を良く溶かす“超音波洗濯機”を3年前に発売したが,今度の新製品はこれを上回るイノベーションを達成。超音波と電解水を組み合わせることで,洗剤を使わずに洗濯ができるという。

 秘密は電解水だ。洗濯槽の側面に取り付けた電極により水を電気分解,発生した活性酸素と電解次亜塩素酸(次亜。殺菌・漂白作用があり,カビ取り剤などに利用されている)により有機汚れを分解,さらに超音波で洗浄能力をブーストすることで「世界初」(同社)の洗剤いらずの洗濯が可能になったという。

 しつこい汚れや機械油の汚れなど用に,洗剤を使った洗濯コースも搭載。「洗剤ゼロコースと洗剤使用コースを汚れの程度・質に応じて使い分ける『ハイブリッド洗濯』を提案する」(同社)と奮っている。「環境を考えたら界面活性剤は許せない」というユーザーや,洗剤に敏感な肌を持つ人にも朗報になりそうだ。容量が7キロのタイプと8キロタイプがラインアップされる。8月1日発売で,7キロタイプは11万8000円,8キロタイプは12万8000円。

 松下が9月1日に発売する電気バケツ「ただのバケツじゃありま洗(せん)」も明解なネーミング。「バケツの持つ利便性と洗浄,かくはん機能を融合することで幅広く使える新しいスタイルの電気バケツ」だという。

 同製品は下になる駆動部と,分離して持ち運べる重さ約1.2キロのバケツ部分とで構成される。汚れがひどくて洗濯機にいきなり放り込めないおむつや,「大切なランジェリー類」(同社)と水,洗剤を入れればワンタッチで洗濯してくれる。もちろんタイマーや強弱切り替え機能も搭載した。

 分け洗いや漬け置き洗いに加え,趣味の染色などにも用途は広がるという。「バケツの用途を活かしつつ,さらに利便性を加えることでバケツの新しい使用スタイルを提案する」とやはり奮っている。ボディカラーは3色が用意され,各1万2000円。

 すっかり成熟し切った産業として“IT革命”の表舞台にも登場することが少ない白物家電。だがキヤノンが一眼レフの交換レンズに手ぶれ補正機能を組み込んだ新製品を発売した時に“新技術が成熟産業を刺激したいい例”と評価されたように,まだまだ工夫と技術革新の余地はありそうだ。ある松下幹部が「一生懸命開発した洗濯機の良さがネット販売で分かる訳ないだろう」と憤慨していたが,“何でもIT”な時勢に対し,白物側の意欲もまだまだ熱い。

関連リンク
▼ 三洋電機のニュースリリース
▼ 松下電器産業のニュースリリース

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