News:ニュース速報 2002年2月7日 05:37 PM 更新

富士通に公取が警告 電子政府“激安入札”で

 公正取引委員会は2月7日,金融庁発注の情報システムに対し富士通の入札価格が極端に安く,独禁法違反の恐れがあるとして警告した。富士通は「深く反省し,再発防止に向けた対応を進める」としている。

 公取委によると,金融庁は2001年9月21日に情報システムの一般競争入札を公告した。発注したのは認証局と電子申請,総合文書管理の各システム。各種申請をオンライン化し,文書を電子管理する「電子政府」化の一環だ。

 入札は同11月14日に行われ,303万円で応札した富士通が契約した。富士通は入札額について「既存ソフトを活用することでカスタマイズは軽微。サーバなどのハードは大幅に割り引いた」とした。

 金融庁の予定価格は明らかにされていないが,公取委は「システムの供給に要する費用を著しく下回る」とした。また富士通について「他の官公庁が発注する案件でも同様の疑いがある行為が見られる」とした上で,「富士通の行為は官公庁発注の情報システムなどの取引分野で,競合他社の活動を困難にさせるおそれがある」とし,不公正な取引方法を禁じた独禁法19条の規定に違反する恐れがあると判断。今後は同様の行為を行わないよう警告した。

 警告を受け,富士通は再発防止策として「適正な取り引きを行うよう,ガイドラインの策定や商談決裁手続きの見直し等により,個別商談をチェックできる商談管理制度の見直しを行った」という。同社は「警告を反省材料とし,今後も積極的に電子政府/自治体プロジェクトに参画していく」としている。

 莫大な需要が見込まれる電子政府/自治体をめぐり,IT各社の受注合戦が激化している。特に中央省庁のシステムを受注できれば地方自治体の案件獲得でも強力な実績となるため,大手各社が激しくしのぎを削っている。

関連リンク
▼ 公正取引委員会
▼ 富士通「公正取引委員会からの『警告』と今後の対応について」

[ITmedia]

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