News:ニュース速報 2002年4月5日 07:53 PM 更新

国産汎用機「DIPS」,35年の歴史に幕

 NTTコムウェアは,国産汎用機「DIPS」の維持管理を3月末で終了した。旧電電公社の主導で国内メーカーの技術を結集して誕生,日本の中枢を支えたDIPSだったが,クライアント・サーバ方式の台頭やオープン系への移行といった流れには逆らえず,35年の歴史に幕を下ろした。

 DIPSは「Dendenkosha Information Processing System」の略。旧電電公社が1967年,オンライン処理用国産計算機技術の開発に着手。プロジェクトにはNECと日立製作所,富士通も参加,“電電ファミリー”形成のきっかけにもなった。第1号機は1972年に実用化,科学技術計算サービス(DEMOS-E)用として東京芝電話局に導入された。

 その後,郵便貯金,社会保険,自動車登録システムのオンライン化といった国家規模の超大規模システムにも投入。NTTの発足以降も,通信インフラや顧客管理など全国規模のオンラインシステムを支えてきた。

 だが1980年代後半から1990年代にかけ,ダウンサイジング化とクライアント・サーバの波が押し寄せると,汎用機としての役割も次第に小さくなった。1992年には新規開発を中止し,2002年を期限として維持管理フェースに移行した。当時DIPSで稼働していた150のシステムは順次市販マシンに置き換えられ,現在DIPSで稼働しているのは1システムのみとなっている。

 DIPS開発では,キャッシュメモリ方式や仮想記憶方式,マルチプロセッサ方式などを世界に先駆けて統合する画期的な技術に取り組んだ。また大規模システム管理の集中化・自動化や,プロセッサ間の光ループ接続,大容量磁気ディスクなどの新技術も生まれた。出荷台数は延べ2500台だった。

 DIPSの維持管理を担当してきたNTTコムウェア(旧NTT情報システム本部)は,「オンラインシステムの構築形態が変遷する中,DIPSの歴史にピリオドを打つことは,日本の国産コンピュータ開発における1つの時代の終焉と言える」とコメントしている。

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